福井県農政連

福井県農政連・農政議員団議会活動報告

令和7年12月10日 福井県議会本会議 一般質問

越前若狭の会 中村綾菜議員 (福井市支部 東部分会)

【学校給食の質の確保と有機食材、地場産食材・活用持続可能な農業の振興について】

学校給食の質の確保と、有機食材・地場産食材の活用、持続可能な農業の振 興についてを質問させていただきます。給食の無償化について、国は2026年度から月4700円程度の支援額を基準とする方向性を出 しております。 無償化していただくことはとてもうれしいことですが、自治体にも一定の負担を求めると いう方向で調整しているとのことで、自治体としては大変困った話でございます。 自治体によっては財源が限られており、物価高騰や米不足の影響を受ければ給食の質や量 が下がってしまう懸念がありますし、地産地消やオーガニックなど特色ある給食に取り組 んでいる地域ほど質が落ちてしまうのではないかとの不安の声が上がっております。 資料2を御覧ください。 そんな中、坂井市こどもの未来を考える会やさばえこどもまんなか環境給食推進委員会、 わかなえオーガニックプロジェクト、れおのわなど6団体が共同でオーガニック給食の推 進と給食の質確保に関する署名活動が行われまして、960名以上の署名が今集まっておりま す。 その署名と要望書を提出するために、私は現在県内の市町を回りまして、市町の担当者と 意見交換を行っているところでございます。 そこで、市町の様々な状況を知ることができ、国の無償化が始まることで自治体間の給食 の差がさらに広がるのではないかという危機感も感じているところでございます。 そこで質問いたします。 県として、市町が安定して質の高い給食、量を確保した給食を提供できるようにどのよう な支援を行うことができるとお考えでしょうか。 県として、国の支援に上乗せをしていただくことは可能でしょうか。 見解をお聞きいたします。 県として、市町の学校給食で有機米・特別栽培米の導入を支援する制度がございます。 有期米・特別栽培米を導入した際に発生した差額の3分の1を補助する制度でございます。 しかし、市町間で有機米導入の進み具合には大きな差があるようです。 有機米の導入ができない理由としては、「地元で有機米の供給量を十分に確保できない、 地産地消をやめてまで有期米に変える必要性を感じない」からだそうです。 有機米の生産者を増やし、供給量・価格ともに安定させるためには、県としてさらなる支 援が必要だなと感じております。 また、量は確保できているが、費用が問題という声もあり、補助額の拡大も必要と感じて おります。 さらに生産者からは、無農薬で作っているが、有機JASの認証を受けていないので補助 対象にならないという声もいただいております。 現状の制度では有機JAS認証米、または特別栽培米が補助対象だからです。 農水省や文科省の基準では、有機JAS認証を取得していなくても、「環境保全型農業直 接支払交付金」における「有機農業」の区分での交付金対象となっておれば、学校給食に おける有機産物として取り扱うことが可能となっております。 まずは昨今の米価高騰の状況もありますので、補助割合を現在の3分の1補助から、2分 の1補助に拡大できないか、また、補助対象についても拡大をお願いしたいと考えますが、 見解をお伺いいたします。また、有機農家の掘り起こしについては、県としてどのようなことができるとお考えでし ょうか。 新規就農者の育成・誘致、有機農業者による協議会の立ち上げ支援など、持続可能な農業 を広げるためにも県としてどのような取組が可能でしょうか。 有機米だけではなく、有機野菜への取り組みも含めてお伺いいたします。 県の市町への給食支援として、ほかには給食に地場産導入を推進する制度もございます。 現在、使用している食材にプラスして、地場産食材を追加した場合に補助が出る仕組みで ございます。 しかし、市町の担当者さんや栄養士さんからは***にしか使えなかったとかカレーにメンチカツを足す程度にしか使えなかったとか、そういった具体的な声もいただいておりま す。 それで、市町からは、プラスワンではなく、現在使用している食材を地場産に換える場合 にも対象にしてほしいということですが、導入のハードルを下げるためにも補助対象を拡大する仕組みへ見直すことができないか、お伺いいたします。 給食への有機食材の導入には、量の確保や調理員さんの手間など課題が山積であることは 重々承知をしております。 そこで、一つ提案です。 まずは調味料から変えてはいかがでしょうか。 これは、より原理的な第一歩となり得ます。 みそ、しょうゆ、塩、砂糖、だしなど、基本的な調味料をより添加物が少ない自然に近い もの、オーガニックなものへ段階的に切り替えられるよう、県として何かしらの支援、後 押しができないか、お伺いをいたします。 最後に、食育の推進について。 食育は子どもたちの健康を守るだけではなく、心の成長や生きる力そのものを育てる大切 な教育でございます。 現場の生産者の方からお話をお伺いし、これまでの営業を中心とした学びだけではなくて、 農や環境にも目を向ける食農教育が必要だと強く感じました。 若狭町では、食農教育のモデル事業に取り組んでおられる方から、実際の子どもたちの変 化や保護者の理解の深まり、地域の農家さんとの交流など、たくさんの学びと手応えがあるというお話をお聞きしました。 このような取組が福井県全体に広がっていくことは、子どもたちにとっても地域にとって も大きな価値があると実感しております。 農業体験を通じて生産者の苦労や喜びに触れ、農業への関心を高めること、また環境負荷 軽減につながる有機農業の取組を知ってもらうことなどの食農教育を推進していくことに ついて鷲津副知事の見解をお伺いいたします。

 鷲頭副知事

私からは、今の最後の食農教育の推進につきまして、お答えを申し上げたいと思います。 食農教育は非常に重要であると思っております。 食育にとどまらず、農や環境への理解を深め、子どもたちにとっては地域の自然やまた、 農業の魅力を伝えることにもなりますし、また地域にとっても、農業や環境を守る担い手 を育てるという意味で重要な取組だと考えております。 生産者の努力や喜びに触れる農業体験は、食への感謝を育みますし、また、農林水産物や 食品を選択する上での消費者の育成にもつながるというふうに思っております。 また、有機農業などの学びは、未来の食と環境を守る意識を育てるということでございますし、こうした活動は地域の絆を強め、そして持続可能な農業を実現する上で重要という ふうに認識しております。 県では、このため第4次のふくいの食育・地産地消推進計画に基づきまして、農林漁業体 験の充実や、また環境配慮への理解促進を進めているところでございます。 具体的には、市町が実施をします小中学校の農業体験活動への補助でありますとか、ふくい食と農の博覧会では、環境配慮型の農産物の展示なども行っているところでございます。 今後とも、生産者との交流をさらに広げてまいりまして、子どもたちが地域の自然や農業、 そして環境の大切さを学ぶ機会を充実させることで、持続可能な農業を支える食農教育の 推進に取り組んでいきたいと考えております。

稲葉農林水産部長

私から2点、お答えいたします。 初めに、有機米、特別栽培米の導入を支援する制度についてお答えいたします。 御指摘のとおり、昨年の秋から、標準的な方法で作られた米、いわゆる慣行米の価格が高騰しておりまして、現在も高止まりが続いているところでございます。 有機米や特別栽培米の価格も上がってはおりますけれども、慣行米との価格差は、米価高 騰前の令和5年に比べ、大きくは変わっていないという状況でございます。 このため、有機米給食推進事業における県の補助割合を引き上げる状況にはないものと認 識をしております。 また、この事業の補助対象でございますが、有機JAS認証米、または特別栽培米の認証 を受けたもの、もしくはこれに準ずるものとして県が認めるものとしております。このため、議員お尋ねの環境保全型農業直接支払交付金の有機農業区分の交付対象となっている米であって、有機JAS、あるいは特別栽培米の認証を受けていないものにつきましては、例えばですけれども、市町が栽培計画をチェックするなどしまして、認証を受けた米と同等のものであることを確認し、県が認めれば補助対象となり得るものと考えております。 続きまして、持続可能な農業を広げるための取組についてでございます。 新規就農者を含めた有機農家の育成、確保に向けまして、県では来年度から、まずは水稲 における有機農業特別栽培を体系的に学べる福井オーガニックグリーンアカデミーを開校 する予定でございます。アカデミーでは、基礎コース、有機コース、支援者コースを設けまして、受講者のレベル やニーズに応じて学べる環境を整備するとともに、県の普及指導員やJA職員等による支 援体制の充実を図ることとしております。 また、アカデミーの受講者が外部講師や県内外の有機農家などと交流し、情報交換できる 場を設けることも検討しているところでございます。 このアカデミーが有機農業推進の拠点として機能するよう、オーガニックアドバイザーなど関係者の御意見も伺いながら、開校準備を進めてまいりたいと考えております。 なお、有機野菜に関する人材育成につきましては、今後、県内における園芸分野での有機 農業等の広がりも見ながら検討してまいりたいと考えております。

 藤丸教育長

私から、学校給食について3点、お答えをいたします。 まず、安定した質と量を確保した給食の提供への県支援についてお答えいたします。 小学校の学校給食無償化につきましては、国の実務者協議において、国費による全額負担 を断念し、保護者負担の軽減にとどまる可能性も出てきているという報道が先週ありまし て、また、昨日から本日にかけましては、約3000億円とも言われる財源を国と都道府県で 半分ずつ負担するよう、全国知事会の平井副会長に求めたという報道もなされたところで あります。 報道では国の支援額は月4700円程度とされておりまして、1食当たりの支援額が現行の食 材費に比べて低くなることが想定されますので、現在、無償化を実施している市町とそう でない市町では今後の財政負担に格差が生じかねず、また、保護者負担の有無をめぐって も混乱が予想されます。 さらに、国が約束した無償化について、この時期に突然都道府県に負担を求めるとう対応 にも強く疑問を感じております。 県としては、引き続き、新たな制度に係る国の動向を注視しながら、全国知事会や市町と 今後の対応を協議していきたいと考えております。 次に、地場産プラスワン給食の補助対象を地場産食材の変更にも拡大してはどうかという ことについてお答えいたします。 今年度から始めました地場産プラスワン給食ですけれども、月1回程度ですが、地場産食 材を使った副食を一品追加することによりまして、児童生徒が楽しみにしている給食の充 実を図るとともに、福井の自然、風土の中で育った地元の食材や生産者の思いに触れる機 会にしたいと思い、導入したものでございます。 実施した学校では、子どもたちから地元のメロンは甘くておいしかったといったような声 が上がっておりまして、好評を得ております。 地場産食材の利用につきましては、年度当初の学校担当者の研修会におきまして、より一 層の活用を呼びかけており、市町では食材の発注時に、まずは地元の市町産、次に県産、 次に国産、この順で食材を選定し、可能な限り地場産食材を献立に取り入れるよう努めて おられます。地場産プラスワン給食というのは単なる食材費の支援ではございませんで、子どもたちに メニューが一品増える日を楽しんでほしいという趣旨でございまして、食材変更への充当 は考えておりませんが、児童生徒がわくわくする機会が増えるよう、引き続き内容の充実 を検討していきたいと考えております。 次に、基本的な調味料を自然に近いものなどに切り替えられるような支援についてお答え いたします。 学校給食で使用する調味料につきましては、児童生徒の健康を考え、品質管理やアレルゲ ンの有無など、安全性などを確認して選んでおりまして、また、味噌、しょうゆなどはで きる限り地元のものを使うよう、地産地消にも心がけております。 一方、有機食材を利用した調味料につきましては、供給量が少なく割高になるなど、学校 給食で使用するには課題もございます。 こうした中でありますけれども、調味料は、各市町において地元の製造業者であることを 優先しておられまして、その中で給食の調理に適した数量の確保ができて、そして適切な 価格であるものを選んでおられます。 また、だしにつきましては昆布や鰹など天然の食材から取ったものを使用し、素材そのものの味を大切にする工夫をしております。 こうした取組を通じて、地元生産者の思いや加工などの生産過程、だしのうまみの相乗効 果などを学ぶきっかけとしております。 引き続き、市町と共に、有機農産物の意義も含めまして、福井の地場産食や健康的な食生 活への理解促進に努めてまいります。

中村議員

御答弁ありがとうございます。 昨日、国が急に4700円のうちの半額を県が負担できないかというようなことを知事会に説 明があったといって、報道でお聞きしましたが、そんな勝手なことを言われては困ると、 ぜひ国に全額負担でお願いしますと、ぜひ跳ね返していただきたいなという思いでござい ます。 ぜひよろしくお願いいたします。 その上で、例えば福井市ですが、今、小学校で月額5418円なんですね。 なので、国と県の支援の対象、月4700円では到底足りないというのが現状で、その差額を どうするのか、保護者が負担するのか、自治体がさらに負担するのか、大きな課題 が残っているなというふうに感じております。 ですので、ぜひそういったことが各市町で起こらないように、県としてさらなる支援をお願いしたいというような趣旨で申し上げさせていただきました。 なかなか難しいとは思っておりますが、ぜひ考慮していただければと思っておりますので、 よろしくお願いいたします。 地場産プラスワン事業についてですが、これは再質問にしようかなと思います。 今、地元のメロン、甘くておいしかったという子どもたちの声を聞いたと伺っておりますが、デザートとか、そういったプラスワンにしか使えない、例えば地場産の魚を積極的に 導入している自治体というのもありまして、調理員さんの負担も考えて、加工したお魚を 納入するということで、その分コストが高くなるというようなお話も聞いておりますし、 そもそも魚は高いので、最近、給食に取り入れることが少なくなったという自治体も聞いております。 さらには、より安い牛乳を仕入れるために県外産の牛乳を使わざるを得ないという、そん な状況まで出てきているという声もありました。 こういった現状、実情を考えますと、プラスワンだけではなくて、今使っている食材を地 場産に切り替えるのが先なのではないかなというふうに感じているところでございます。 これは、農業だけではなく、漁業・畜産業活性化にもつながりまして、地域経済を支える 非常に重大な、大事な視点になるというふうに考えております。 再度、本当にプラスワンにしないのかというような質問もしたいですし、本当にしないと いうことでしたら、現在、使用している食材を地場産に切り替えるためのどのような支援、 制度設計ができると考えられるのか、お考えをお示しいただきたいなと感じましたので、 再質問させていただきます。

 藤丸教育長

まず、学校給食というのは御承知のとおり、市町が実施自治体ということで、 これまで取り組んできておられます。 こうした中でも、いろいろ食材費の高騰の中で、何らか県としての支援ができないかということを考え、今回、地場産プラスワン給食というのを始めさせていただいたところです。 これはデザートに限るといったような制限は設けておりませんので、地場産の食材を使ったメニュー、実は学校給食会が50品以上、そういったメニューを開発して提供しておりま すので、そうしたものを積極的に使っていただくとか、いろんな工夫の中で現場の実 態に合わせて御利用いただければと考えているところです。 あくまでも食材の入れ替えに使う食材費の補填ではないということだけ改めて申し上げさせていただきたいと思います。

中村議員

その制度設計を見直していただきたいという質問をさせていただいております。 量の確保とかそういったもの、質のプラスということになると思うんですけど、さらに質 を確保する、よいものにしていくという観点で、ぜひもう一度検討していただきたいなと いうふうに感じさせていただきました。 給食は地域農業にとって最も安定した販路にもなります。 ここを有機農産物の受皿にすることは、生産者の新規参入を増やし、結果として福井の農 地、農村を守る力にもなると考えております。 有機農業が増えれば、水質保全、環境負担の軽減、生物多様性の維持にもつながると考えております。 ぜひ、農業を守ることは未来を守る、福井の未来を守るということにもつながると思って おります。 ここは投資を惜しんではならないと考えております。 よりよい循環のために仕組みの構築というのを最後にお願いさせていただきまして、ハー ドルは高い事業でございますが、ぜひ有機農業を推進していただきたいとお願いして質問 を終わります。 ありがとうございます。  


中村議員

令和7年12月9日 県議会本会議 一般質問

自民党 渡邊竜彦議員  (坂井市支部春江分会)  
【猛暑による農業への影響と今後の対策について】
【福井県の食品輸出の現状と課題について】

今年も福井県の夏は暑い暑い夏となりました。 6月10日に梅雨入りし、7月18日には平年より5日早く梅雨明けしました。 その後は連日のように真夏日を超える猛暑日が続き、月平均気温は平年より3度以上高く、 ほとんどの地点で観測史上1位を更新しました。 あわせて、日最高気温も各地で記録を塗り替え、夜間も熱帯夜が続いたため、熱中症によ る救急搬送が増加したとのことです。 さらに、降水量は平年の10から20%程度と記録的少雨で、河川の水位低下や渇水による農 作物への生育不良も懸念されています。 一方で、日照時間は平年の倍近くに達し、強い日差しが続いたことから、電力需要が急増 し、そのため節電要請も出されました。 今年の夏の猛暑、少雨、強い日差しは、エルニーニョ現象や地球温暖化の影響が複合的に 作用していると気象庁は分析しているとのことですが、今後、毎年のように続く夏の猛暑 は、私たちの毎日の生活や農業、インフラにも大きな影響を及ぼすと考えられます。 また、農業生産者の方からは、今年の高温少雨といった農業に対し、厳しい条件の中、農 作物が深刻なダメージを受けているとの声も多く聞かれ、農作物生産現場の大変さがひし ひしと伝わってきました。 今年の猛暑は過ぎ去りましたが、県はこうした現場の声を正確に把握し、次の夏に向けて 早々に対策を考えていくべきだと思います。 そこで、本県の今年の夏の猛暑による農作物への影響について、県はどのように把握をさ れているのか、また、どのような影響があったのかをお伺いいたします。 また、今年の夏の猛暑による高温障害や小雨といった水不足などによっての農作物の収量 減少や品質低下は農業生産者の方にとって大きな打撃となっていますが、 それらに対して県はどのように取り組んでいくのか、県の所見を鷲頭副知事にお伺いいたします

あわせて、例年のように続く夏の猛暑や、1年が四季から二季へと変わったとまで言われ ている中で、より早急な高温耐性品種や作期変更などといった産地ごとの事情に合わせた 新品種、技術の早急な導入が求められますが、県の所見をお伺いいたします。

 鷲頭副知事

私からは、今年の夏の猛暑や小雨による農産物への影響に対する県の取組に つきましてお答えを申し上げます。 今年の夏は、御指摘いただきましたように。平年を大幅に上回る平均気温と猛暑日の日数 が観測されるなど、非常に厳しい暑さとなり、また、7月から8月にかけて一定期間雨が 降らないといったこともありまして、収量低下をはじめ、農作物への大きな影響があった と認識をしております。 そして、来年以降もさらにこの猛暑の影響が続くということも想定していかねばならない と考えております。 このため、施設園芸では、遮熱フィルムや遮光カーテンなどの資材、換気扇、そして、自 動散水装置などの導入に対する支援策を検討いたしますほか、水稲を含め、高温に強い品 種開発も進めてまいりたいと考えております。 また、農業用水の不足に係る対策といたしましては、排水を再利用するためのポンプの設 置や燃料費、そして給水車の借り上げなどを引き続きご支援していくこととともに、事業 の早期の周知を図ってまいりたいと考えております。 さらに、消雪用井戸水などの新たな水源の活用ということについても検討してまいりたい と思っております。 今後とも、猛暑に万全を期するために、これらの対策を着実に進めまして、生産者の皆様 を支援してまいりたいと考えております

稲葉農林水産部長

私からは2点、お答えいたします。 初めに、今年の猛暑による農作物への影響についてでございます。 県では、農林総合事務所が中心となりまして、市町やJAなど関係機関と連携し、現地確 認や農家からの被害状況の聞き取り、出荷状況の共有などによりまして、猛暑や渇水による被害状況を把握しております。 今年は園芸品目におきまして、トマトでは高温による着果不良や受精の低下によりまして、 8月から10月の収穫量が平年に比べて4割から5割減少しておりまして、年間を通して見 ますと1割から2割の現象となっております。 また、サトイモや白ネギにつきましては、肥大抑制によりまして平年の2割から3割の減、 ニンジンにつきましては、発芽不良などによりまして5割減の収穫量になるものと見込み です。 一方、米におきましては、小雨により一部の水田でイネの葉巻とか葉先が枯れるといった影響がございましたけれども、県全体としましては、10月時点の国の発表によりますと、 直近5年と比較した作況反収指数が103、一等米比率が84.5%となっておりまして、例年並 みの収量品質を確保できたものと認識しているところでございます。 続きまして、高温耐性品種や技術の早急な導入についてでございます。 新品種の導入につきましては、ハナエチゼンより高温に強く食味がよい早生品種の品種登 録を年度内に出願する予定としておりまして、来年度から県内6つの地区で試験栽培に取 り組む予定でございます。 また、ブドウにつきましては、高温でも色づきのよい品種を開発しており、トマトにつき ましても、高温下でも収量が安定する系統を選抜しております。 いずれも来年度から試験栽培を行いまして、令和9年度からの本格栽培につなげていきた いと考えております。 技術の導入につきましては地域の実情に合わせまして、水稲では高温期の穂が出る前の追 肥、大豆では夏場の畝間冠水、トマトでは暑い夏を避けた栽培時期の変更、ネギでは高温 下でも生育が促進される肥料の散布などを指導しております。 今後ともスピード感を持って高温対策に取り組みまして、本県農産物の安定生産とブラン ド力の向上につなげていきたいと考えております。

  渡辺(竜彦)議員

それでは次に、福井県の食品輸出は、近年、拡大の兆しを見せてい渡辺(竜彦)議員それでは次に、福井県の食品輸出は、近年、拡大の兆しを見せていま す。 その背景には、円安や世界的な日本食ブームがあり、特にアジアや北米市場での需要が伸 びています。 その中でも、主力品目は日本酒、米、水産物加工品であり、県内の酒造や農家が積極的に 海外展開を進めており、農家が連携して販路拡大を図る動きも見られます。 それに対し、福井県も農林水産物輸出促進事業を展開し、現地でのプロモーションや展示 会参加を支援するなどの取組が進んでいます。 一方で、課題としては、まず輸出品目が日本酒や米に偏っているため、食品の多様化が不 十分であるということと、EUや米国向けの食品安全認証施設が限られていて、国際規格 への対応が輸出拡大のボトルネックとなっています。 また、物流面でも北陸地域は国際港湾や空港へのアクセスが弱く、輸送コストが高いこと も課題となっています。 加えて、語学力やマーケティング力を持つ人材が不足しており、現地市場に合わせた商品 開発や販路開拓に制約が生じています。 止まらない人口減少による国内減少縮小を補う意味でも、輸出拡大は地域経済の重要な柱 となりつつあります。 そこで、今後、福井県が食品輸出を拡大するには、物流、販路、人材、ブランドの4本柱 を強化することが必要不可欠であると考えます。 その中でも、特に県内事業者が海外規制や商談に対応できるよう支援体制を整えることが持続的な輸出拡大につながっていくと思いますが、県の所見をお伺いいたします。

 稲葉農林水産部長

県内事業者が持続的な輸出拡大につなげられる支援体制についてお答 えをいたします。 県ではこれまで、アジアを中心に、現地事業に精通した事業者を活用しまして、県内事業 者の伴走支援として、現地におきまして高級レストラン、小売店でのペアや商談会などを 実施してまいりました。 さらに、昨年度からは北陸3県の連携によります輸出促進事業としまして、対象の地域を 欧州、北米などにも拡大しまして、新規市場の開拓に取り組んでいるところでございます。 また、国の事業を活用しまして、輸出先の国の規制などに対応した施設整備を支援してい るほか、ジェトロなどと連携して県内事業者向けのセミナーを開催するなど、専門人材の 育成にも努めているところでございます。 これらの取組の成果もありまして、本県の農林水産物、食品の輸出額は増加基調で推移し ているところでございます。 県内事業者が安心して積極的に輸出に取り組めるよう、国内で開催されます海外のバイヤ ーが多数参加される輸出展示会への出展支援なども検討しておりまして、引き続き県内事 業者を支援していく考えでございます。

渡辺議員

令和7年12月4日 県議会定例会 代表質問

自民党  小堀友廣 (三方)  

【農林行政について】

米農家への支援拡充について伺います。 令和7年度産米については、全国的な米不足を受けて増産が促されましたが、令和8年産 米では、一転して減産方針が示されるなど国の水田政策は大きく転換しています。 こうした方針変更は県内の米農家の経営判断に直接影響を及ぼすものであり、米農家を取 り巻く状況は今なお変化し続けています。 先月、県議会が開催した若手農業者との意見交換会では、猛暑による生育不良や人材確保 の困難さなど切実な声が多数聞かれました。 これらの課題以外にも、現場からは機械購入補助を含む小規模農家の支援など幅広い対策が求められています。 こうした状況を踏まえれば、米農家が安定的に経営を継続できる環境を整備することは地 域の農業振興にとって不可欠です。 そこで、県内米農家の経営支援に関し、県としてどのような実効性のある対策を講じるの か伺います。

 

農林水産部長 稲葉

稲葉農林水産部長/私からは2点、お答えいたします。
初めに、米の購入支援についてでございます。 県では、令和6年産米の価格高騰を受けまして、今年2月から先月まで、特に食費の家計 負担が大きい子育て世帯を対象とした県産米購入キャンペーンを行ってまいりました。 アンケートの結果では、キャンペーンを活用した子育て世帯の8割以上から助かったとい う回答をいただいた一方で、申請手続が煩雑といった御意見もございました。 そのほか、子育て世帯以外も対象としてほしいという多くの御要望もいただいています。 現在も米価の高止まりが続いておりまして、国の総合経済対策に米を含む物価高騰対策が 盛り込まれたことも踏まえ、県産米の購入や消費を後押しするため、子育て世帯以外にも 対象を拡大しまして、はぴコインを活用して県産米の購入を支援する事業を12月追加補正 予算で計上させていただく予定としております。 次に、県内米農家の経営支援についてお答えいたします。 県では、持続可能な経営体の育成のため、農地の集積による規模拡大や農作業の省力化、 効率化につながるスマート農業を推進してまいりました。 今後はさらなる効率化を目指し、農地のあっせんを行う農地中間管理機構などを通じまし て農地の集約を進めるとともに、スマート農機の導入支援の強化を検討してまいります。 また、県内農業の活力を高めるためには、集落営農組織など多様な担い手が携わっていく ことが重要と考えております。 引き続き、JA、市町、県で組織する集落営農救援隊による経営改善の支援や、集落営農 組織、小規模農家の営農継続に必要な機械導入の支援を行ってまいります。 あわせまして、近年猛暑による米の品質低下が課題となる中、いちほまれの作付け拡大や ハナエチゼンより高温に強い早生新品種の導入を進めまして、安定的な米生産を支えてま いります。 今後とも女性、外国人など多様な人材の活用も含め、米農家が意欲を持って経営を続けら れる環境を整備し、希望あふれる福井の農業を実現していきたいと考えております。

小堀議員
稲葉農林部長

令和7年9月12日 定例会 一般質問

自民党 時田和一良 (越前町支部)

【中山間地農業と担い手支援について】

中山間地域農業の担い手支援について伺います。 6月定例会の我が会派の代表質問において、米農家への支援、中山間地域の農地維持、農 業経営の支援、農業の担い手確保などについての質問がなされ、答弁がありました。 それを踏まえた上で、より深掘りした質問と提言をしたいと思います。 最新の農林業センサス令和2年によれば、本県の基幹的農業従事者、ふだん仕事として主 に自営農業に従事している者のうち、実に82.6%が65歳以上であり、もはや高齢化という 言葉では表現し切れない引退寸前世代への極端な依存という危機的状況にあります。 県全体の農業経営台数も2010年の約2万戸から2020年には1万戸強まで10年間で半減して います。 この趨勢が続けば、あと10年で福井県の農業は存続の危機に直面すると考えられます。 中山間地域の農業はさらに深刻で、過疎化や高齢化の進行に伴う農業の担い手不足、農地 の耕作放棄や集落機能の低下により、地域の維持が困難になってきています。 私の地元である越前町は、まちの水田面積1196ヘクタールのうち、約70%に当たる838ヘク タールが中山間地域に位置し、小規模で急峻な農地が点在しています。 農地集積率も目標の80%に対し、52.3%にとどまっており、地形的な制約により効率化が 困難な現状となっています。 このような問題は、越前町だけではなく、県内の多くの中山間地域が同様の課題を抱えて います。 国や県は、農地や農業経営体の集約化、スマート農業を推進していますが、その受皿とな る担い手の確保が最重要課題であると考えます。 県は、水田農業の担い手対策として新規就農者支援事業や集落営農救援隊による直接的な 支援など様々な支援をされていますが、その効果はどれくらい表れているのでしょうか、 所見を伺います。 このように、全国的にも先進的な取組をしているにもかかわらず、なぜ基幹的農業従事者 の高齢化が上昇し、担い手が不足しているのでしょうか。 その原因として、支援の分断と制度の複雑さがあると考えます。 国の制度、県の制度、市町の制度が複雑であり、現状の制度の一部が新規就農を志す人や 中山間地域の農業従事者、農業法人や集落営農組織にそぐわない部分があると聞いていま す。 集落営農組織や新規就農を希望する人など、大規模ではない担い手に対する各種の支援制 度、人や農地の問題などを解決するための支援チームの設置など、担い手育成の支援の拡 充が必要であると考えますが、所見を伺います。 また、中山間地域農業については、直接支払交付金制度の手続の簡略化や条件の緩和、活 動拠点づくりへの支援など、より地域の実情に応じた支援制度の見直しが必要であると考 えますが、所見を伺います。 福井県の中山間地域は農業だけではなく、国土保全や水源涵養、自然環境の保全、良好な 景観の形成、文化の伝承などといった多面的な機能を担っています。 これらの地域は都市部では代替できない重要な役割を果たしており、県全体の持続可能な 発展にとって不可欠な存在であると考えられます。 中山間地域の農地保全は県全体の食糧安全保障と国土保全機能に関わる重要な課題である と考えます。 現在、鳥獣害対策などの中山間地域の農地保全は農業従事者が行っていますが、高齢化に よる担い手不足の中で農地保全には限界があります。 鳥獣害対策などを含めた中山間地域の農地保全について、農業従事者だけに任せるのでは なく、ある程度ディフェンスラインを決めて、国土保全、強靭化を目的としてインフラ整 備同様、公共事業のように行政で実施していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。

 杉本知事

私からは、最後の行政による中山間地域の農地保全についてお答えを申し上げ ます。 中山間地域における農地の保全につきましては、県の農業基本計画の中におきまして、ま ずは地形に合わせた基盤整備を行う。 また、草刈りであるとか水の管理、鳥獣害対策、こういったものについての省力化を図る。 さらには、守るべき農地とそれから粗放的に管理をすべき農地、こういったもののゾーニ ングを行うといったような内容になっているところでございます。 現状のこれから基盤整備を行っていこうという計画を見てみますと、現実には8割が中山 間地域に属するということでございまして、その中で、例えば畦畔を緩やかにしていくと いうようなことであるとか、パイプライン化を進めるといった一般的な中身のほかにも、 さらに例えば丹南地域なんかにもあるんですけれども、鳥獣害対策用の恒久柵を設置する、 こういったような内容を含めて計画をしているというところでございます。 中山間地域の農地の保全の仕方についてでございますけれども、やはり耕作とセットにし ていくことがどうしても重要なところだと思っておりますので、そういう意味では地域の 主体的な取組ということが重要だと思っております。 それについて、県としてさらに例えばコストが増えるとか、工期が伸びていくような谷筋 のようなところ、こういったところの農地の整備をどうしていくのか、それからまた鳥獣 害対策の、今申し上げたような柵を設けるような、こうしたことをさらに普及させていく、 こういったことも大事だと思っておりますし、また農地と林地、これが重なり合っている 場所もあるわけでございまして、こういったときには、例えばそこで木を切るのであれば、 その林の林道の部分に合わせた形で農道のほうもつくっていくとか、それぞれの地域にあ った基盤の整備の仕方について考えていく必要があると。 こういったことを進めながら、希望と魅力あふれる農業にしてまいりたいと考えていると ころでございます。

稲葉農林水産部長

お答えいたします。 初めに、水田農業の担い手確保支援の効果についてお答えいたします。 水田農業の担い手確保につきましては、新規就農者や集落営農組織の後継者などが水稲の 基本的な栽培技術や機械操作などを学ぶ越前若狭田んぼ道場や農業法人などへの就業者の 確保のためのお試し就農を実施しております。 また、昨年度から集落営農救援隊を組織しまして、集落営農の継続発展に向けた支援を行 っております。 その結果、新規就農者は令和元年度から6年度までの累計で706名となっており、その52% に当たります369名が中山間地域で就農しております。 また、救援隊につきましては、中山間地域の7組織を含む14組織を支援しておりまして、 このうち3組織において後継者やオペレーターが確保されるなど成果が出ております。 さらに、救援隊による支援をきっかけとしまして、定年退職者が農作業に参加する仕組み づくりの検討や、集落の将来について若手同士の意見交換を始めた集落もございます。 続きまして、人や農地の問題を解決する支援チームの設置など、担い手育成支援の拡充に ついてでございます。 地域の農業は大規模農家だけでなく、集落営農組織に参画する小規模農家や新規就農者な ど、多様な担い手に支えられております。 これらの担い手を支援していくためには、県だけではなく、関係機関との連携が重要でご ざいまして、集落営農組織に対しては、昨年度からJAと連携して、集落営農救援隊が経 営力強化や後継者確保に向けた伴走支援を行っており、今年度から市町にも参画いただい て体制を強化したところでございます。 新規就農者の支援につきましては、農地や住宅の確保、就農プランの提案、里親農家との マッチング、補助事業の活用など、内容が多岐にわたりますので、円滑なサポート体制を 構築すべく、今年度から各市町へのワンストップ窓口の設置を進めております。 今月、新たに越前市エリアを対象とする窓口が設置されたところであり、今後も市町、J A、県が連携しまして、窓口の整備や運営支援を進めてまいります。 3点目、中山間地域農業の地域の実情に応じた支援や制度の見直しについてでございます。 生産条件が不利な中山間地域では、国の中山間地域等直接支払交付金を活用しまして、水 路や農道などの協働管理や鳥獣害対策、耕作放棄地の発生防止など、集落自らが対策を決 定しまして、集落協定という形で定めて生産活動の継続につなげております。 国は事務作業が煩雑という農業者からの声を受けまして、今年度から集落協定書への押印 廃止や様式の見直しによる手続の簡素化、協定書に定める活動への農家でない方や地元建 設業者など、多様な人材の参画を認める要件緩和を行っております。 県としては、今後も地域の実情を反映した制度となるよう国に働きかけてまいります。 また、昨年度から中山間地域の活性化に向けた活動の中心となる農村RMOの育成支援に も取り組んでおりまして、地域住民の主体的な活動を支えながら中山間地域の維持発展につなげていきたいと考えています。
時田 県議

令和7年9月12日 定例会 一般質問

自民党 坂井秀和 (永平寺分会)

【来年度以降の水稲生産における渇水対策について】


来年度以降の水稲生産における渇水対策について質問と提言をさせていただきます。 近年の夏は、早く始まり、遅く終わるのが当然のようになってきました。 さらに、今年は降雨量も少なく、水不足が農産物の生産に大きく影響しております。 福井県では、今定例会の補正予算で干害対策等特別事業を上程されており、補助率2分の 1で、市町や土地改良区等が実施する干害対策に必要な経費を支援するとしております。 そこで、私としては、もう一歩踏み込んで米の生育の現状を鑑み、収穫量の減少が容易に 予測されることから、今年度の農家の所得への支援も必要ではないかと考えますが、担当 部長の所見をお伺いします。また、来年度以降も、地球温暖化に伴い、さらに厳しい状況を招く可能性が高いことから、 来年度以降の干害対応策を県としてどのように考えていくのか、担当部長の所見をお伺い します。

稲葉農林水産部長

来年度以降の水稲生産における渇水対策についてお答えをいたします。 1点目ですけれども、今年度の水稲生産に対する農家の所得への支援についてでございま す。 高温渇水による米の作柄への影響につきまして、現時点では限定的と伺っておりまして、 また、今年度、米の概算金が大幅に上昇しておりますことから、農家の所得への影響は小 さいものと考えております。 また、自然災害によりまして減収となった場合のセーフティネットとしまして、収入保険 や農作物共済がございますが、出稲面積ベースでの加入率は全国3位の96.1%とほぼ全て の面積をカバーしている状況でございまして、減収となった場合でも所得は補填される見 込みとなっております。 2点目ですが、来年度以降の水稲生産における干害対応策についてでございます。 農業用水の不足への対策につきましては、排水を再利用するためのポンプの設置費や燃料 費、給水車の借上費など、市町や土地改良区などが実施する取組に対する県独自の支援制 度を設けておりまして、今後、9月補正に計上させていただきました予算も活用しながら 支援をしていくこととしております。 また、今年度の新たな取組としまして、越前町におきまして、消雪用の井戸水を農業用水 として活用した例がございまして、渇水対策の手段を増やすことにつながる有効な方策と 考えております。 来年度以降、消雪用の水の活用を他の地域に拡大していけるよう可能性を検討していくと ともに、JAや市町などと連携しまして、水管理をはじめとする栽培指導を適時、適切に 行っていきたいと考えております。
坂井 県議

令和9年9月11日  定例会 一般質問

自民党  山浦光一郎 (福井市支部美山分会)

【物価高対策とコメ生産への支援について】


朝晩涼しくなってきましたが、議会は引き続き熱く頑張りたいと思います。 最初に、物価高対策と米生産への支援ということです。 今年の参議院選挙で最大の争点の一つとなったのは物価高問題でしたけども、その大きな 柱の一つが米の値段でした。 総務省の小売り物価統計調査によりますと、この夏の福井県内では米5キロ当たり4272円 と、例えば一昨年の2408円と比べて77%上昇しており、今年もそれほど下がらない見込み とのことです。 もちろんお米農家さんに話を伺いますと、直近の十年以上の米価低迷でなかなか作り続け ようと思えないということがあり、最近のお米の価格の上昇でようやっとお米農家が報わ れるようになったわけだから、この米価を無理に下げるようなことがないようにしてほし いと、こういう御意見をたくさんいただきます。 これはもちろんそうだと思います。 知事も常日頃おっしゃっているとおり、農業は国の基ですし、食料安全保障という観点で もいざという時のために国の中で食料を生産できるようにしておくということは極めて重 要で、そのためにも例えばお米を作るということは、単に先祖代々続いてきた田んぼを守 るといった意識だけに頼って進めるのではなくて、お米作りが持続的にもうかるようにす ることが必要だと思うからです。 ただ、消費者の観点から見ると、お米の値段が上がり過ぎるのもやはり問題なので、生産 者の方にはきちんと作り続けようと思ってもらう環境をつくりつつ、一方で消費者の方に もお手頃な価格の米を提供する、こういう方向での政策が重要だというふうに思います。 この観点からすれば、お米の生産は抑制するような方向でお金を出すのではなく、生産を 拡大する際に追加でかかっていく費用とかをいかに支援できるかと、こういう視点で考え なければならないのではないかというふうに思います。 この点昨年の12月に開催された福井県農業再生協議会では、主食用米の生産数量の目安と して令和7年産主食用米の作付面積を増やす方向が示され、福井県も2万1900ヘクタール という令和6年度実績から、2万2489ヘクタールへと増産する方向ということで、それ自 体はよいと思うんですけれども、農家さんにはそれに伴う設備投資もかかってくるという ことが予想されるところです。 そこで伺います。 今年の増産を受け、今後の県内の米価格の見通しを伺うとともに、増産を推進するに当た り農家の負担軽減を図るため県が現在取り組んでいる政策について伺います。 また来年も引き続き増産が期待される中、農家の過度な負担を回避するためには、設備投 資やその他増加するコストに対する補助制度を検討するべきだと考えますけれども、知事 の所見を伺います。

杉本知事
 
私から、来年の米の増産に向けた農家の過度な負担を回避するための補助制度についてお 答えを申し上げます。 議員御指摘いただきましたとおり、米の不足、それから米価の高騰、これを踏まえまして、 国として米の増産の方向に舵を切る、そういう方針転換がなされたところでして、生産者 にとっては安心して米づくりができる、また消費者にとっては安定して供給が受けられる、 こういった需要に応じた増産が必要になっていると考えているところでございます。 今年の主食用米の作付けの状況を見ますと、これは5年前とほぼ同様の状況になっている と伺っているところでございます。 一方で、農業経営対数としては、かなり減ってきている、こういう状況にあるわけでして、 そういう意味では、同じ面積を少ない人数でやっていくということになるわけですので、 より一層、効率化とか、それから省力化、また収量をたくさん取れるような、そういった 工夫、こういったことをしていかないといけないということかと思っております。 そのために、経営規模の拡大、それからスマート農業の推進、さらにはより暑い状況にも 耐性のあるようなそういう早生品種であったりとか、それから多収量が取れる品種、こう いったものの普及にさらに力を入れていかなければいけないと県として考えているところ でございます。 もう一つ、JAとも協力をしまして、農家の皆さんの利便性を高めるためにカントリーエ レベータのような共同の利用施設、こういったものの再編整備にも力を入れていきたいと 考えているところでございます。

稲葉農林水産部長

今年の米の増産による価格の見通しと増産の際の農家の負担軽減策に ついてお答えいたします。 7年産の米の価格につきましては、販売が始まっているハナエチゼンの店頭価格が5キロ 当たり4000円台前半と、昨年の同時期に比べますと1500円ほど高くなっております。 国は今回の米不足や価格高騰を受けまして米を増産する方針を示しており、7年産につき ましては本県も含め全国的に昨年よりも作付けが増加する見込みではあるものの、猛暑の 影響や需給状況が不透明でありますことから、今後の米価を見通すことは難しい状況でございます。 米の増産には、収量や品質の向上、生産コストの低減が重要でございますので、いちほま れなどの高温に強い品種の導入や農地の集積集約に対する支援、生産性向上につながるス マート農機の導入支援などを行っているところでございます。
山浦 県議

令和7年9月8日  本会議 代表質問

自民党 山本 健 議員  (鯖江市支部)

【農林水産行政について】


次に、農林水産行政について伺います。 まず、農林水産地方創生センターについて伺います。 7月、全国で初の事例として、福井県に農林水産地方創生センターが設置されました。 このセンターは農林水産省が掲げる地方みらい共創戦略に基づき、地域課題の解決と新た な価値創出を目指す官民連携の拠点であり、設置に尽力した滝波農林水産副大臣によれば、 福井県内の人だけ農林水産業者だけではなく、それ以外の企業や産業など新結合というも のによって成長していくことを目的にしているとのことです。 センターに参画した小浜市、越前市、池田町、若狭町の四4市町ごとにプロジェクトチー ムが設置され、来年度から本格的に始動する予定であり、今後の展開に大きな期待が寄せ られております。 そこで、農林水産地方創生センターについて、来年度の本格指導を見据えた準備の進捗状 況を伺うとともに、農林水産業の振興にもたらす効果及び農林水産業以外の分野において 期待される県内への波及効果について所見を伺います。 次に、不安定な米の需給を踏まえた米農家支援について伺います。 2023年の猛暑や外食需要の急回復を背景に、日本では令和のコメ騒動とも呼ばれる米不足 が深刻化しました。 2024年度の外国産米の民間輸入量は約3000トン超と過去最高を記録し、2025年上半期には 約4万トンと、前年1年間の40倍に達しました。 さらに、米国との関税交渉の結果、米国産米の輸入量が拡大することが決まりました。 こうした状況を踏まえ、政府は米の生産不足が価格高騰を招いたとして、増産に舵を切る 方針を表明しております。 このように外国産米の輸入拡大と国内の増産が同時に進む中で、備蓄米の販売が延長され るなど米の需給をめぐる状況は極めて流動的となっており、農業経営や地域の食糧政策に 不安定さをもたらす要因となっています。 そこで、米の需給をめぐる状況が流動的である中で、福井県として農家が安定的に経営を 続けられるようどのような支援策を講じていくのか伺います。 次に、鳥獣害対策について伺います。 イノシシやシカによる米や農作物への被害については、令和6年の農作物被害総額が約1億9100万円に上り、過去20年で最大の被害額となったところです。 県は侵入防止柵の適切な設置や維持管理集落を餌場とさせない環境づくりを市町と連携し て行うとして対策を強化しておりますが、マンパワー不足のため、鳥獣害対策の水準は集 落ごとにばらつきがあり、市町任せになっていては、今後も被害が拡大してしまうのでは ないかと不安の声もあります。 また、集落に近い河川敷において、イノシシなどが巣を作り、そのまま居着いてしまう事 例もあり、河川管理者との連携が必要となるなど、これまで以上に攻撃的な対策が必要に なってきていると考えています。 そこで鳥獣害対策について、市町任せにするのではなく、県内一円でしっかりとした対策 を講じていくべきと考えますが、所見を伺います。

 稲葉農林水産部長

農林水産行政について、3点お答えいたします。 初めに、農林水産地方創生センターの準備状況と効果についてでございます。 7月末に全国に先駆けて設立した福井県農林水産地方創生センターは、官民共創により地域課題の解決と新たな付加価値の創出を図るためのプラットフォームであり、まずは本県 の強みとなり得る有機農業をテーマに、事業化に取り組むこととしております。 今月から関係市町とのヒアリングを行いまして、有機農業の拡大に向けた課題を整理し、 事業内容の大枠を固めてまいります。 その上で、課題解決に向けて連携すべき民間企業等とのマッチングを進め、年内には、市 町ごとのプロジェクトチームを立ち上げ、令和8年度から本格的に始動してまいります。 センターの活動を通じまして、生産、消費の両面から有機農業の拡大を図り、農業の付加 価値向上につなげるとともに、農業との接点が少ない都市部の消費者や企業が有機農業に 触れるきっかけとなる農業体験やアグリワーケーションなどを通じて地域における関係人 口の創出につなげてまいります。 続きまして、農家が安定的な経営を続けるための県の支援策についてでございます。 国は先月開催した米の安定供給等実現関係閣僚会議において、米の増産に舵を切る方針を 表明するとともに、令和9年度から水田政策を見直し、生産性向上に向けた取組を支援し ていくこととしております。 米の増産に対しては、肥料や燃油などの資材価格が高止まりする中で米価下落を懸念する 声があり県としては国が構築を目指しております合理的な費用を考慮した価格星系の仕組 みがこうした疑念を解消でき、安定した米作りにつながるものとなるよう、引き続き国に 求めてまいります。 また、いちほまれのブランド化や、高温に強い品種、具体的にはいちほまれや農業試験場 が開発を進めていますハナエチゼンよりも高温につよい早生品種、こういった品種の普及 拡大農地の集積、集約、スマート農業の加速、スマート農業に対応した基盤整備など、安 定した米生産の基盤づくりを進めるとともに、需要に応じた生産や需要拡大について、生 産者団体などと協議を進めてまいります。 次に、鳥獣害対策について、お答えいたします。 鳥獣害対策については、市町が鳥獣被害防止特措法に基づきまして、被害防止計画を策定 し、主体的に対策を行うこととなっており、技術的支援や捕獲支援の補助など、総合的な 支援を行っております。 県自らが実施する対策としては生息数が多いと推定されます丹南地区の奥山において、シ カやイノシシの広域捕獲を実施しており、令和6年度のシカの捕獲数は前年度の約2倍と なっております。 また、広域的に移動する猿については、市町とともに対策を検討し、群れの管理や捕獲な どを実施しています。 さらに、今年度2名に増員した県の鳥獣対策コーディネーターが日頃から市町職員と伴走 しながら、市町職員に対する助言、指導を行っているほか、市町の有害鳥獣捕獲隊員を対 象に、遠隔監視システムなどICTの活用や小林式誘引捕獲法といった、新しい捕獲技術 を習得するための実技講習会をこの秋にも開催することとしております。 今後も引き続き市町と緊密に連携しまして、県内一円での対策を進めてまいります。

令和7年7月4日  予算決算特別委員会

自民党 山本 健 県議 (鯖江市支部神明分会)

【有機農業について】

 先月の6月22日に福井県オーガニック・グリーン農業推進大会がサンドーム福井で開催されたので、私も参加させていただいた。その大会の中で、有機農業に関する優れた技術と豊富な経験を持つ7名の方に、福井県オーガニックアドバイザーとして鷲頭副知事から委嘱状が交付された。アドバイザーの皆さんもこれまでの知見を生かして生産者からの相談対応に尽力いただくことを私も県民の一人として期待している。

 一方で、当日参加されていた方から、今回選任に当たっては各農林事務所のほうから推薦を集めたということで、地域バランスはしっかり取られているが、皆さん、水稲を中心に活躍の方々ではないかという指摘をいただいた。有機で野菜をつくりたいとの思いで参加された方もいらっしゃって、心配そうにされていた。今回委嘱されたオーガニックアドバイザーの方々で、園芸についても相談対応は全県的に対応できるのかを伺うとともに、今後のオーガニックアドバイザーの追加委嘱の方針について、鷲頭副知事の所見を伺う

◯鷲頭副知事 
 少し背景を申し上げると、有機農業はこれまで越前市をはじめ、主に丹南地域で先進的に進んできたわけであるが、他の地域への広がりという部分では少し課題があった。今回、これを面的に拡大していくために、生産から、生産だけでなくて販売までみたいに、いわゆる川上から川下までの一体的な取組を醸成するような枠組みが必要であろうということと、人材育成の体制を強化していく必要があるということで、今年度こうしたことについて特に力を入れてやっていこうとしている。
 その先行的な取組として、まずは人材育成をスタートさせようということで、先日の推進大会において、今、県内で高い技術を持って経験豊富な有機農業の実践農家をオーガニックアドバイザーとして委嘱させていただき、相談体制を立ち上げた。
 ただ、本県の有機農業の取組面積の9割以上、97%が実は水稲、雑穀であるということであって、指摘のように、まず現状では水稲による実践農家の方を任命させていただいたわけであるが、有機農業をさらに特色あるものにするには、園芸についても人材育成を図っていく必要があると考えている。
 今後、園芸分野での有機農業の広がり、また生産現場のニーズを見ながら、アドバイザーの追加委嘱も含め、育成できるように検討していきたいと思っている。

◯山本委員 
 水稲が中心というのは理解しているが、国のみどりの食料システムにおいても、将来的に農地全体の25%となると、やはり園芸の部分もないがしろにできないと思うし、今少なくても徐々に増やしていこうと思うと、急には増えないので、少しずつ取組を進めるのもいいかなと思う。
 ただ、おっしゃるとおり、結構個人というか、本当に小規模でやられている方が多いので、どうやってオーガニックの園芸を大規模化していくかとか、様々な研究は必要だと思う。鯖江市のほうで自然栽培実践塾とかいろいろやっているが、そういう県内全体の先進例も参考にしながら、園芸のほうも水稲の金魚のふんといったら失言になるのであれであるが、頑張っていただけたらと思う。

山本委員
 それで、有機農業の人材育成の観点で今ほど答えていただいたが、水稲における有機農業、特別栽培を体系的に学ぶことができるふくいオーガニック・グリーンアカデミーを来年度開校する方針をそのとき示された。園芸についても有機農業の人材育成が取れないかというふうに、過去の議会でも提言させていただいたことがあり、以前は、園芸カレッジにおいて担えないかと指摘した。園芸カレッジを含め、園芸における有機農業の人材育成についての取組方針についてもお願いする。

◯農林水産部長  
 有機農業の拡大に向けては、人材育成が重要であって、来年度開校するアカデミーにおいては、有機栽培のほか、特別栽培についても普及、拡大を目指して、まずは水稲を対象としたカリキュラムを展開していく方針である。園芸の人材育成については、今後県内における園芸の有機・特別栽培の広がりなどを見ながら、カリキュラムの在り方などを検討していきたいと考えている。
 なお、園芸カレッジにおいては、農業に新規参入される方を対象に、農薬や化学肥料を適正に使った栽培方法を指導しており、アカデミーと園芸カレッジとのすみ分けを図りながら有機農業の人材育成を進めていきたいと考えている。

◯山本委員  
 当然水稲も含めてしっかり人材をつくっていくのが大事だと思うので、よろしくお願いする。福井県の有機農業について、平成13年頃からであろうか、恐竜と星だと思ったら、恐竜とスイセンであった特別栽培マークが運用されていると思うが、これも有機をやっている方がこの間ついているのを見たら、まだあったのかというぐらいなので、またしっかり頑張っていっていただきたいと思う。
 以上で質問を終わらせていただく。

                              ~以  上~

山本 健 県議

令和7年6月24日 県議会一般質問

自民党 坂井秀和県議  (永平寺町支部)

【農業生産者及び加工業者目線の対策を】

、農業生産者及び加工業者目線の対策を、について伺います。 米の価格については、小泉農林水産大臣がスピード感のある対応で消費者に対して積極的 な対策を講じられました。 今後の備蓄米の在庫確保に懸念はありますが、国民全体が困窮する中ですばらしい対応だ ったと思っております。 消費者に対しては、備蓄米を安価に購入できなかった方もおられますので、なるべく必要 な方が購入できるような対策を検討する必要がありますが、ひとまず直近の対応はできた のではないかと思っております。 とはいえ、全国米穀販売事業共済協同組合が令和6年3月に公表した米穀流通2040ビジョ ンを見ますと、現実的シナリオ需要量と現実的シナリオ生産量の数値がいよいよ逆転する との予測を示していることから、米価の価格を安定させることと継続的に運営できる農業 従事者の確保に向けた取組、さらに米の消費を促進にさせて、重要と供給のバランスを戦 略的に引き上げる取組を同時に進めなければならないと考えております。 もちろん、県では既に消費者及び生産者に対して様々な事業を展開していただいているこ とは重々承知しております。 その上で、米の消費を戦略的に促進する取組の一つとして、年齢を重ねるごとに減少して いく米・米加工品の1人1日当たりの摂取量を改善していくために、幅広い世代が大好き な麺類やパンなどの原料となる小麦粉を米粉に変えていく、いわゆるグルテンフリー化を 進めることが重要だと考えております。 -73- 速報版 そこでなかなか反応拡大につながっていないと感じているのですが、グルテンフリーの最 大活用を具現化できるような施策に今後、今以上に本気になって取り組んでみてはいかが でしょうか、担当部長にお伺いいたします。 先日6月5日の放送で、日本酒の原料の酒米、五百万石の収穫量が昨年より4割程度減少 する可能性があるとの報道がありました。 その理由は、価格が高騰している主食用米の作付面積を増やし、酒米を減らす農家が増え ているとのことであります。 持続可能な経営を目指す上で利益確保のために生産するのは自然な流れだと思っておりま す。 しかし、これにより県内の蔵元では、日本酒の生産量の減少や価格の高騰が懸念されると しております。 この酒米の供給量不足について、杉本知事は11日の記者会見で、一番の課題は酒米を集め ることだと説明され、さらに今定例会の提案理由説明で、JAと協議し、酒蔵が必要とす る量の酒米の確保を図るとともに、価格の高騰に対し、酒米購入費用への緊急支援を行う と言及されております。 そこで、越前・若狭の地酒の継承、発展につなげていくためにも酒蔵が必要とする600トン の発注とJAが見込む378トンの集荷量、このアンバランスを調整するために今年度の酒前 をどのように加工していこうとお考えでしょうか、杉本知事にお伺いします。 また、本年の作付状況の実態はどのようになっているのでしょうか。 今年度の作米の作付量が減少の見通しである場合、来年度以降の対策をどのように考えて いるのでしょうか、担当部長にお伺いします。 さらに、さかほまれの作付に関しては、現在県内で北越地区のみと把握をしておりますが、 福井県産日本酒のブランディングを推進するためにも、今後、酒造組合とも連携して、必 要数に対応できるよう作付量を増やしていただきたいと考えております。 そこで、今後の酒造組合と連携を伺うとともに、現在のさかほまれの作付計画はどのよう に進められているのでしょうか、担当部長にお伺いします。

杉本知事  (答弁) 

 私も、息子が中学2年、娘が小学校5年の頃は福井で過ごしておりまして、大変、福井の 子育ては当時から大変、妻も含めて感謝をしているというところでございます。 これを引き続き、ふく育県として守っていけるように、充実できるように頑張ってまいり たいというふうに思っております。 御質問といたしましては、酒蔵の必要量とJAの集荷見込み量を踏まえた酒米の確保につ いてお答えを申し上げます。 今年産の酒米につきましては、6年産、昨年産の主食米が急騰したということもございま して、春の作付の段階から酒米をやめてハナエチゼンのような主食用米のほうに作付を転 -75- 速報版 換してしまっていると、こういうことがたくさん起きているわけでございまして、結果と して、酒米の供給量が、その蔵元、酒蔵が求めている量を大幅に下回るというような状況 になっているところでございます。 そういった事態を受けまして、春以降、県がJAとそれから酒造組合に声を掛けまして、 議論をさせていただいて、結果といたしまして、一つには6年産米の酒米、これで一部活 用できるものがまだ残っていましたので、これを優先的に回していただいたり、また、加 工用米の供給を増やしていく、こういうことで何とか今年のお酒作りには影響が出ないよ うにしていこうということの見込みが立ってきているというところでございます。 ただ、そうは言いましても、先ほど議員から御指摘をいただきましたけども、今年の酒米 の出荷見込み数量そのものが昨年より三、四割減りそうだと、こういうような状況にある わけでございますし、その結果として言えば、ほかのお米に比べても値段の上がり方が大 きくなる、そういう可能性が非常に高いと、こういうことでございます。 また、大きく急に値段が上がりますと、今度は消費のほうに影響を与える。 お酒の場合は、もちろんお酒として売られて自宅で飲まれるものもありますけれども、飲 食店とか旅館なんかで付加価値をつけて売られる、非常に利益も大きい業種でございまし て、そういう意味ではそちらへの影響、裾野も広い大きな影響もあるということでござい まして、こういったことも念頭に置いて考える必要があるということでございます。 そういった観点から、今回の補整予算におきまして、今回の補助事業を設けさせていただ いているところでございます。 緊急的に今回の支援措置をさせていただいておりますので、ぜひとも御理解をいただけれ ばと思っているところでございます。

 稲葉農林水産部長 (答弁)

   初めに、グルテンフリーを最大限活用する施策についてでございます。 令和5年度に県が食品製造業者を対象に行いましたアンケートでは、6割の企業が米粉商 品のメリットとしましてグルテンフリーを挙げておりまして、県としましても、米粉の大 きな強みと認識をしております。 県では県産米粉の新商品開発に係る経費を支援しておりまして、さらに多くの商品化に向 けまして、米粉に適した品種の選定や製粉に関するリーフレットを作成しまして、今年度 からホームページで公開をしております。 また、令和6年の2月に立ち上げました県産米粉ブランド、米粉の福井の統一マークによ る店舗でのPR、福井駅での一斉販売回など年間を通した販売促進も計画をしております。 米粉の福井ブランドには、現在22の加工業者などに御参加いただいておりまして、店頭で の販売コーナーの設置や消費者への情報発信を進めております。 今後、米粉の福井の参加事業者をさらに増やしまして、グルテンフリーによる強みも生か しながら、米粉商品の開発や消費者の認知度向上を図っていきたいと考えております。 続きまして、今年度の酒米の作付の実態と来年度以降の対策でございます。 7年産酒米の出荷見込み数量は、先ほど知事からもございましたけども、昨年の6割から 7割程度になると伺っております。 これは6年産の主食用米の価格が上がりましたことで、酒米からハナエチゼンなど主食用 米に作付が転換されたことが一因と考えております。 酒米の安定供給には、生産者と酒蔵の双方が納得できる価格で取引がなされることが重要 でございます。 県内の酒蔵は、県産酒米の大切な取引先でございます。 今後の米価の動向が不透明さを増す中、県としましては、まずは生産者が8年産の作付計 画を固める今年の秋に向けまして、JAや酒造組合との協議を早急に進めていきたいと考 えております。 次に、今後の酒造組合との連携と、現在のさかほまれの作付計画についてでございます。 さかほまれの作付計画につきましては、酒造組合からの要望量を元にJAが作成しており まして、酒造組合が求めている奥越地区内での生産量確保に取り組んでいるところでござ います。 今年は酒造組合から約120トン2000俵相当でございますがすが、要望がありまして、当該 数量を確保できる見込みとなっております。 さかほまれの生産量と、需要先の確保に向けましては、生産者、JA、酒造組合、県の4 社がさかほまれの生産や酒作りにつきまして、相互に理解を深めることが非常に重要と考 えておりまして、令和5年度から4社が参加しまして、田んぼや酒蔵の見学会などを行っ ているところでございます。 今後も関係者間で情報を適時、適切に共有しまして、需要と供給の安定化、ブランド化に 取り組んでまいりたいと考えております。
坂井秀和 県議

令和7年6月24日 県議会一般質問

民主 三田村輝士県議  (南条支部 味真野分会)

【本県の有機農業推進について】

、本県の有機農業の推進についてお尋ねいたします。 有機農業は、自然の循環機能を生かし、環境への負荷を低減するとともに、農産物の付加 価値を高めることができる大変重要な取組であります。 本県では、令和6年度から令和10年度までの5年間を計画期間として、農業を取り巻く新 たな課題や状況の変化に対応しながら、食・農・農村政策を推進するため、「次世代へつ なぐ、希望あふれるふくいの食・農・環境計画」を策定されております。 その中で、有機農業の目指す姿として、経営として成り立つ有機農業を確立、農業者は環 境に配慮して作った農産物を消費者に届け、県民は環境に配慮して作られた農産物を選び、 自然豊かなふるさと環境を守ると記載されております。 そこで、有機農業の推進に当たって、何点かお尋ねをいたします。 まず、有機農業の生産拡大に向けて、県としてどのような具体的な取組を行い、どのよう な目標を定めているのでしょうか、お尋ねいたします。2点目ですが、官民連携のプラットフォーム、農林水産地方創生センターについてお尋ね いたします。 6月定例会の知事の提案理由の説明において、有機農業の生産から流通、販売、消費まで を一体的に進めるため、官民連携によるプラットフォーム、農林水産地方創生センターの 立ち上げを表明されました。 また、一昨日、越前市のサンドームで開催されましたオーガニック・グリーン農業推進大 会では、鷲頭副知事から有機農業の取組について、食育や地産地消、農泊とともに連携を しながら、農業の能力向上と関係人口の増加につなげるために、このセンターにおいて具 体的な取組の方向性について議論を進めていきたいとお話がありました。 さらに、令和8年度には有機農業を体系的に学べる福井オーガニックグリーンアカデミー を開校し、担い手の育成に取り組むことも発表されており、特に人材育成を先行して進め るとの力強い発言がありました。 滝波農林副大臣からも、全国初となるセンターの設置を福井県でとの発言があり、国から の強い後押しも感じたところであります。 このセンターは、どのような仕組みで、何を目的としているのでしょうか。 また、どこに設置し、どのような効果を期待されているのか具体的にお尋ねいたします。 3点目、人材育成と拠点整備についてお尋ねいたします。 有機農業の担い手を増やすためには、技術習得や経営ノウハウが学べる実践的な研究拠点 の整備が不可欠であります。 国においても、指導者育成や拠点産地づくりの支援が進められております。 福井県でも、初心者でも安心して学べ、就農や独立につながる人材育成、実践、研究、交 流の複合的な拠点を整備する必要があると考えます。 全国から人材を受け入れ、学び、交流できる場とすることで、福井県の有機農業のモデル をつくっていけるはずと思っております。 また、令和5年3月には、越前市を環境負荷低減の特定区域に設定され、越前市は令和6 年5月にオーガニック都市宣言を行っております。 まさに、越前市は県内のモデル地域ではないかと考えるところでございます。 今後、県は越前市とどのように連携し、人材の確保育成も含めて、有機農業の生産拡大を 進めていくのでしょうか。 越前市への支援も含めて県の方針を伺うとともに、特定区域に設定された越前市と連携し、 拠点を整備していくお考えはないのか、県の所見をお尋ねいたします。 よろしくお願いします

 稲葉農林水産部長 (答弁)

 初めに、有機農業の生産拡大に向けた具体的な取組と目標でございます。 有機農業や特別栽培といった環境保全型農業の生産拡大に向けましては、高度な栽培技術 の習得や、除草作業の負担軽減が課題となっております。 
県では、普及指導員による指導体制の強化を図っており、昨年度からは水田除草機の購入 補助も行っております。 加えまして、今週22日に開催しましたオーガニック・グリーン農業推進大会におきまして、 有機農業に先進的に取り組む農業者7名を、オーガニックアドバイザーに始めて委嘱しま して、生産者からの相談に全県的に対応できる体制を整えたところでございます。 さらに今年度から、農業試験場におきまして、両正条田植えと自動操舵除草機による除草 機能の向上と作業効率化、施肥量の診断による収量向上に関する研究もスタートさせたと ころでございます。 県のみどり基本計画におきましては、有機農業、特別栽培の取組面積を2030年に、基準年 であります2020年の3割増となる2200ヘクタールとするなど、高い目標を掲げております ので、これらの取組を通じまして、達成していきたいと考えております。 続きまして、農林水産地方創生センターの仕組みと目的、効果についてでございます。 有機農業につきましては、環境負荷の低減のみならず、農業の付加価値の向上につながる 重要な取組と考えております。 その一方で、有機農業の意味や安心して食べられる、生態系の保全につながるといった素 晴らしさが消費者に十分には浸透しておらず、需要開拓の面で課題があると思っておりま す。 今後、有機農業の取組を面的に拡大していくためには、生産者との交流などを通じまして、 消費者理解の醸成を図りつつ、職員、事業者などと連携しまして需要開拓に取り組むこと が大事でございまして、そのためにも、官民連携の推進体制の構築が必要と考えておりま す。 このため、国の支援を受けながら、例えば観光や教育といった異分野、異業種も含めまし て、民間企業や団体などが幅広く参画した協議体であります農林水産地方創生センターを 早期に立ち上げまして、場所も含め、今後の有機農業やそれに関連する取組の方向性につ いて精力的に議論を進めまして、参加者による取組の実践を通じまして、有機農業の拡大 につなげていきたいと考えております。 続きまして、越前市と連携した人材育成支援、越前市への支援、越前市と連携した拠点整 備についてでございます。 越前市における有機農業の推進に対しまして、県では、令和5年度から国の交付金を活用 した支援を行っておりまして、有識者を招きました研修会による技術力の向上や消費者(?) の販路拡大など、生産から流通、消費までの一貫した取組が進められております。 県としましては、越前市のモデル的な取組の成果を広く県内に共有しまして普及につなげ ていきたいと考えております。 また、来年度には、水稲における有機農業特別栽培を体系的に学べる福井オーガニックグ リーンアカデミーを開校し、有機農業の人材育成を強化してまいります。 なお、アカデミーにつきましては、県内外から意欲ある農業者を広く受け入れまして、座 学や現地研修によるカリキュラムとすることを想定しております。 こういったことが実現できるよう、拠点につきましては今後、関係者と協議を進めていき たいと考えております。
三田村輝士 県議

令和7年6月24日 県議会一般質問

自民党 森 嘉治  (坂井市支部 丸岡分会)

【今後の農業政策の課題・中獣類被害について】

、今後の農業政策の課題について伺います。 まず、多様な担い手の支援についてです。 農業については、令和の米不足が昨年の夏頃から始まり、一時は5キロ当たり4000円台で 高止まりするという状況が続き、米価の高騰問題が取り上げられています。 最近になって政府の備蓄米により少しずつ落ち着きを見せ始めていますが、まだまだ先が 見通せない状況のようでもあります。 米価の高騰は消費者にとって大きな問題ではありますが、まずは米の流通がスムーズにな ることが大切であると考えます。 米がスムーズに出回ることで米価の安定が図られるのではないでしょうか。 そしてまた、この問題は日本の食と農、そして環境の持続可能性を左右する国民的な課題 であると同時に、生産者を守るための生産コストの上昇や担い手不足といった構造的な課 題に対応するためには、これまでの枠組みにとらわれない長期的かつ多角的な視点からの 支援などが必要になるのではないかと考えます。 これまで、県としましても、担い手問題を解決するために様々な取組を行っており、新規 就農者への支援、スマート農業の推進、規模の拡大、多様な人材の活躍推進などといった 手厚い支援策を講じています。 ただ、これらの取組の対象は農地の集約や効率のよい法人か、大規模な経営体が主体にな ってしまうように思います。 リーディングファームを目指す生産者に聞きますと、規模の拡大を目指すときには、効率 のよい圃場での育成を優先するようになり、中山間や小規模農地を避けるようになってし まうのが現状のようです。 福井の農業を支える多様な担い手に目を向ければ、小規模な生産者や半農半Xといった多 様なスタイルの農業者に対しても生産意欲が増進するような仕組みが必要になってくるの ではないでしょうか。 そこで伺いますが、これからの福井の農業を応援し、守っていくためにも、多様な担い手 が今後も持続的に営農していくための所得補償やさらなる支援策強化が必要と考えますが、 県としての所見を知事に伺います。 次に、ブランド米について伺います。 4月の福井新聞に、さいたま市の主婦からの投稿でいちほまれのことが書かれた記事を見つけました。 いちほまれが3年連続、米の食味ランキングの最高評価、特Aに選ばれたとのことで喜び の内容だったのですが、この方は数年前に福井に旅行に来たときにいちほまれと出会い、 その香りやもっちり感に魅了され、その後もふるさと納税を利用されて家庭での主食とし ているとのことでした。 今でもいちほまれを食べながら生産者の方に感謝し、我が家では日本一だと思っています とのことでした。 この記事を読んだときに誇らしくもなり、うれしくなりました。 ただ、この記事では価格については触れられておらず、ブランド米としての評価をしてい ただいているようでした。 米価については、1995年までは政府が決めていましたが、現在は全国の5割以上を集荷す るJAの影響が強く、その年の収穫状況を判断して発表しているようです。 そこで伺いますが、米価高騰により、今後、いちほまれやコシヒカリなどの福井ブランド 米の取引にどのような影響が生じると考えられるのか。 また、それに対してどのように対応していくのか、県の所見を伺います。 
次に、中獣類による被害について伺います。 まず、広域的な被害対策について伺います。 これまで多くの議員方から鳥獣害被害、その対策について質問や要望が述べられました。 鳥獣には、クマ、イノシシ、シカ、サル、ハクビシン、アライグマなど様々ですが、その 獣種によって生息する場所や捕獲方法などの対策も様々です。 そこで今回は、ハクビシン、アライグマといった中獣類に的を絞ってみたいと思います。 先日の福井新聞に、鯖江市に住む女性から、中獣類が住みつき、その駆除や家のリフォー ムの見積りが非常に高額で適正なのかという相談が寄せられたとの記事がありました。 本来、鳥獣害の被害というと、農家の食物を食い荒らす食害が一般のようにも思われ、山 間の集落の問題のように考えていましたが、ここに来て、一般家庭の被害も増加してきて いるように思います。 その原因の一つには、空き家の増加も含まれていると思いますが、えさがある場所や住み やすいところということで、その生息場所も移動しながら広域的になってきているように 感じます。 よく電気柵による対策が見受けられますが、これは防御にしかならず、中獣類の個体数は 減らず、被害が拡大する可能性が高くなることも考えられます。 坂井市においては、この4月から坂井市有害中型獣類地域捕獲者支援実施要項をまとめ、 施行されており、これは市か許可を出す獣類にはよりますが、箱罠による中型獣類を捕獲、 殺処分及び運搬するというもので、報奨金を支払う対象になるということです。 ただ、このような取組は各市町が単独で取り組むのはその効果が現れにくく、半減してし まうのではないかとも思われます。 獣害がえさや住みやすさを求めて移動していくことを考えると、市町の枠を超えた広域的 な施策として取り組む必要があるのではないかと思います。 そこで伺いますが、鳥獣害対策は各市町が直接対応していくことを考えると、各市町の対 策を踏まえた上で、県が中心となって広域的な政策を強化し、鳥獣害による被害防止策の 効果が十分に発揮できるよう働きかけるべきと考えますが、所見を伺います。 最後に、地域における持続的な鳥獣害対策について伺います。 自然界にいる獣類が人里へ入り込み、被害を及ぼすのは一部であり、集落の近くで生息し ている中獣類も栄養状態がよく、数が増えやすいので捕獲が必要になってきます。 各地にも有害捕獲隊がありますが、見回りを考えると、まだまだ人手を確保しづらい状態 ではないかと思います。 そこで伺いますが、各市町において、行政と地域住民が地域ぐるみで有害鳥獣対策を継続 して活動していくための県の政策についての所見を伺います。 以上、よろしくお願いいたします。

 杉本知事
 
森議員の一般質問にお答えを申し上げます。 たらふくい県というお言葉もいただきました。 お約束はできませんけれども、私も少し使っていただける方いないかどうか、声はかけて みたいというふうに思っております。 今、多様な担い手が持続的に営農していくための所得保障や支援強化策について、私、ま ずお答えを申し上げます。 高齢化とか農業の担い手不足、大変深刻になっているということでございまして、地域営 農組織であるとか、小規模の生産者、さらには半農半Xというお話もございました。 こういった多様な担い手の確保、非常に重要だというふうに認識をいたしております。 こういうことで、県といたしましても、JAなどと連携をいたしまして、まず集落営農救 援隊、これを組織させていただいて、後継者の確保であるとか、それから経営力の強化、 伴走支援をさせていただいているところでございます。 さらに今年度は市や町にも声がけをいたしまして、体制の強化を図りたいと考えていると ころでございます。 また、小規模生産者に対しましても、も農業機械の購入であったりとか、また園芸のハウ ス、こういったものを整備するというようなときであるとか、またJAの直売所に出荷し やすいようにするとか、また農作業の一部を担っていただけるような、そういう担い手の 育成なんかも力を入れさせていただいているところでございます。 国は、令和9年度からの新しい水田政策、これを見直して実施していくというふうな考え 方を示しているところでございまして、所得補償を含めて、セーフティネットの在り方の 議論が進んでいくと認識をいたしております。 これからも多様な担い手、こういったことが育成できるように、希望あふれる農業の実現 に向けて、最大限努力をしてまいりたいと考えているところでございます

 稲葉農林水産部長(答弁)

今後の農業政策について1点、中獣類被害について2点お答えいたし ます。 まず、米価高騰による福井のブランド米取引への影響と対応についてでございます。 6年産米につきましては、全国的に価格が高騰する中、県産米の価格についても高い水準 で推移をしております。 そうした中でも、ブランド米、いちほまれの販売は堅調と聞いておりまして、現時点では 価格高騰によるブランド米の取引への影響は生じていないと考えております。 いちほまれにつきましては、都市圏でのプロモーションや百貨店、量販店での試食販売な ど、認知度向上に努めてまいりました結果、昨年度から新たな大手量販店でも取り扱って いただけるようになったというところでございます。 また、店頭での試食販売におきましても、消費者からの評価は高まっていると実感してお りまして、米穀卸売業者や米穀専門店からの要望量も増えております。 現在、国におきまして備蓄米の放出が続けられており、米価の動向は不透明となってきて おりますが、引き続き状況を注視しながら、いちほまれのブランド米としての地位を確立 し、全国に定着させることにより、県産米全体の評価を高め、生産者所得の向上に努めて まいります。 続きまして、県が中心となった鳥獣害の広域的施策の強化、市町への働きかけについてで ございます。 鳥獣害対策につきましては、鳥獣被害防止特措法に基づきまして、市町がそれぞれの被害 等の実情を踏まえて策定した鳥獣被害防止計画に沿って対策に従って実施されております。 市町が自らの権限で行います有害鳥獣の捕獲に要する経費に対しましては、県として、中 獣類を含めて支援をさせていただいております。 また、中獣類の中でも特に駆除が必要な特定外来生物のアライグマなどにつきましては、 狩猟免許がない方でも捕獲が可能となる講習会を開催する市町を支援しております。 住民の捕獲への参画によりまして駆除の効果が高まりますので、より多くの市町でこうい った講習会が開催されるよう働きかけまして、捕獲のノウハウを共有していきたいと考え ております。 また、集中的かつ広域的な捕獲が必要な指定管理鳥獣でありますイノシシ、ニホンジカと いった大型獣につきましては、中獣類よりも行動範囲が広いということですので、県では 令和2年度から関係市町と連携しまして、個体数削減のための広域的な捕獲を実施してお ります。 今後も引き続き、市町が行う被害防止対策の効果が十分発揮されるよう支援をしていきた いと考えております。 次に、行政と地域住民の地域ぐるみによる継続的な有害鳥獣対策についてでございます。 野生鳥獣による被害を防止するためには、人里に出没する原因を地域住民の皆さんに正し く理解していただき、地域ぐるみで対策を実施していくことが非常に重要と考えておりま す。 農作物の収穫残渣は放任果樹、侵入防止策の破損などを放置することが野生鳥獣を引き寄 せる原因となり、繁殖力を高めたり、集落近くの茂みなどに住みつくということにつなが っております。 県としましては、住民の皆さんにこうした原因を正しく理解いただきまして、実施できる 対策を地域ぐるみで取り組んでいただくため、鳥獣害対策コーディネーターが市町ととも に市町に出向きまして、地域の実情に応じた指導助言や集落勉強会の開催のほか複数集落 が連携して対策を取ることができるよう、集落間の合意形成に向けた支援を行っておりま す。 今後も地域住民、市町、県が一体となった地域ぐるみの有害鳥獣対策を進めていきたいと 考えております。 


森 嘉治 県議

令和7年6月24日 県議会一般質問

自民党 渡辺竜彦県議 (坂井市支部 春江分会)

【福井県の畜産業について】

福井県の畜産業について質問いたします。 福井県の酪農を含む畜産業は、地域の農業と密接に連携しながら発展してきました。 特に耕畜連携の取組が進められ、地元の農業資源を活用した持続可能な畜産が模索されて います。 そして、福井県の畜産業は地域資源を生かした生産が特徴となっていて、その中でも特に 若狭牛やふくいポーク、福地鶏といったブランド畜産物が県内外で高く評価をされていま す。 しかし、輸入飼料の価格上昇や供給不安が続く中、耕畜連携の維持・発展が課題となって おり、県では酪農家や堆肥製造事業者、飼料生産者などが協力し地域完結型の連携を模索 しています。 また県内の畜産業全体の産出額は約56億円で、特に鶏卵の生産が大きな割合を占めていま す。 さらに畜産業の持続可能性を高めるため、環境負荷の低減や地域資源の活用が求められて います。 例えば堆肥の有効活用や地元産飼料の導入などが進められています。 これにより輸入依存を減らし、地域内での循環型農業の推進が図られています。 このように県の畜産業は、地域資源をできるだけ生かしながら発展を続けていますが、今 後は持続可能な生産体制の構築が重要な課題となると考えられます。 -32- 速報版 そこで伺います。 福井県の酪農畜産業において、後継者不足や経営者の高齢化など、持続可能性が大きな問 題となっています。 特に、若い世代の農業離れが進む中、今後ますます畜産業を担う人材の確保が難しくなっ ていますが、県は本県畜産業の課題をどのように認識し、どのような対策が必要と考えて いるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、畜産経営には飼料の生産・整製、飼養衛生管理、家畜排泄物処理といった複数の工 程があり、高度な知識と技術が求められます。 また、酪農・肉用牛生産は多額の設備投資や運転資金が必要であり、投資した資金の回収 などに長期間を要する、あるいは資材や生産物の価格変動が大きいという特徴があります が、これらの課題は個々の生産者だけでは対応が難しいところがあります。 そこで地域の実情や課題に応じた生産者、行政、農業団体など地域の関係者が役割を分担 し、連携していくことが重要であると考えますが、県の所見を伺うとともに、県はどのよ うなサポート体制を構築していくのか、所見をお伺いいたします。 また、福井の酪農、畜産業を守っていくためには県民の理解と協力は欠かせません。 県民が地域の産物に親しみ、愛着と誇りを持つことによって、県内消費の拡大につなげて いくことが必要です。 そのため、福井の子どもたちに県産の酪農品や若狭牛、ふくいポークや福地鶏などを知っ てもらうとともに、酪農、畜産業の大変さやすばらしさを理解してもらい、応援する気持 ちを育んでいく取組も必要と考えます。 そこで、県産の酪農品など畜産物を学校給食に積極的に導入していくべきと考えますが、 県の所見をお伺いいたします。

杉本知事  (答弁)
 
私から福井県の畜産業につきまして、その課題と認識、対策について、お答え を申し上げます。 今御指摘いただきましたように、近年、県内の畜産業につきましては飼料が高騰する、そ のほかの資材もどんどん上がっていく。 一方で、物価高もありまして、牛肉については高いという感じがあって消費が伸び悩む。 結果として、若狭牛についても枝肉の価格が低迷しているということで、畜産業の経営が 非常に厳しい状況にあると認識をいたしているところでございます。 そういう中で、一方で県内の畜産業というのは、今鶏卵もおっしゃっていただきましたけ れども、令和5年度の実績で申し上げますと65億円の産出額があるということで、県内の 農業の全体の1割以上を占めるということで大変重要な産業になっていると認識をいたし ているところでございまして、やはり後継を担っていただくような人材の確保と、それか ら安定した経営ができるような需要の確保、こういった両面を考えていかなければいけな いと認識をいたしているところでございます。 まず、人材の確保につきましては、これについては今、一つはJAとも連携をいたしまして、園芸カレッジのような畜産カレッジ、これをできるだけ早く開講したいということで 今準備を始めているところでございまして、今年度におきましては、これに向けて、今畜 産をやっていらっしゃるところを見て回る、県内外の若い方に、興味のある方に見て回っ てもらうジョブツアー、こういったものも今企画をさせていただいているところでござい まして、新しい担い手の確保、こういったことも図っていきたいと思っているところでご ざいます。 もう一つは需要の確保、販売面ということになります。 これに向けては、例えば若狭牛であれば、せっかく新幹線のお客さんに来ていただいてい るので少々高くてもおいしいお肉を食べていただけますので、そういう意味では、また帰 ったらおいしかったということでファンになっていただくこともできますので、そうした 県外から来られているお客さんにいろいろおもてなしをしっかりしていくということもあ りますし、また、県内で今やっておりますのが、例えば食肉の卸売り業者、それであると か、精肉店、それから旅館とか飲食店、こういうところに調査をしておりまして、どんな ところが課題だとか、どうしたら売れるかとか、そういった需要について、これから開拓 する方法についても今県内での開拓方法、こういったことも考えているところでございま すし、また、美食フェスタみたいなことを首都圏とか、いろんな大都市でもやらせていた だいております。 こういったことを使って県外に売り出す、こういったこともしっかり力を入れていきたい と考えております。 こういったことを通じまして、牛肉もそうですけれども、畜産全体をしっかりと後継者を 育てる、それから需要をつくっていく、こういったことをしながら畜産の経営力の、体力 の強化、それから耕畜連携というお話もありましたけれども、農業全体の連携なんかの強 化、こういったことも考えてまいりたいと思っているところでございます。

 稲葉農林水産部長  (答弁)

2点、お答えいたします。 初めに畜産農家の経営安定に向けた関係者が連携したサポート体制の構築についてお答え をいたします。 畜産につきましては、飼料の生産調整、あとは飼育管理、家畜の衛生、環境問題や対応、 経営管理、こういった多岐にわたる技術と知識を要するということで、経営安定に向けま しては関係者のサポートが必要となっております。 このため現在、県や市町、JA、畜産協会、日本政策金融公庫など関係団体が連携しまし て、畜産農家の経営改善資金計画の策定などを支援しておりまして、サポート体制を組ん でおります。 さらに、IT企業など異業種とも連携しまして、例えば分娩監視システムとか、哺乳ロボ ット、こういったスマート畜産の導入を拡大しまして、経営効率化や労働環境の改善を進 め、持続可能な畜産業を目指していきたいと考えております。 また、多額の支援が必要となります設備投資に当たりましては、県や畜産農家、堆肥の利用農家、飼料会社などで構成するクラスター協議会を設置しまして、国の畜産クラスター 事業を活用してまいります。 こうしたサポート体制の強化やスマート畜産の推進によりまして、農家の経営安定を図っ ていきたいと考えております。 続きまして、県産畜産物の学校給食への積極的な導入についてお答えをいたします。 県では、学校給食への県産、畜産物の使用を推進しておりまして、令和6年6月時点の重 量ベースの県産畜産物の使用率は牛乳が18%、牛肉が23%、豚肉が40%、鶏肉が15%、鶏 卵が66%となっております。 また、県産畜産物を使用した若狭牛コロッケなど、加工品も提供されております。 県産のブランド畜産物が学校給食のメニューに入っている日を、子どもたちはわくわくし て待っておりまして、給食に出た日には、家庭で若狭牛おいしかったよとか、ふくいポー クのしょうが焼きが出たよといった会話が弾むと伺っているところでございます。 今後とも、乳業メーカーや流通業者、学校関係者との調整を図りまして、地場産プラスワ ン給食(?)の機会なども活用しまして、学校給食での県産畜産物の利用を積極的に推進 していきたいと思っております。 こうしたことで、子どもたちに畜産に興味を持ってもらい、消費拡大にもつなげていきた
渡辺竜彦 県議

令和7年6月24日 県議会一般質問

自民党 中西昭雄県議  (南条支部 吉野分会)

米価高騰を契機とした農業立県福井の持続可能な農業の展開について】

昨今、何かと話題に上がりますが、そもそも農林水産業は我が国の暮らしと国土を支える 基幹産業ですから、しっかりと持続可能なものにしなければなりません。 そして、持続可能なものにするためには、やはり人材が重要なポイントでありますので、 この人材という点にフォーカスして質問してまいりたいと思います。 昨年夏頃から始まった米の価格上昇は現在も高騰が続いております。 ごく最近では、政府備蓄米の放出によりスポット的に安価な米が出回っており、現在は全 体的な価格が落ち着いてきているように感じられますが、そもそもこの備蓄米制度は、本 来、食糧安全保障や災害対策を目的とするものであります。 しかし今回は、物価高騰対策の一環として、2022年から2023年の安価に買い上げた備蓄米 を随意契約によって直接小売業者へ供給する措置が講じられております。 限定的で緊急的な対応とはいえ、通常流通米との価格比較が進み、生産者の販売環境に再 び不安定さが生じかねない状況になるのではないかと懸念を感じております。 消費者目線では価格が一定に下がり、国産米の消費拡大につながることは歓迎すべきです が、懸念されるのは再び米の価格が下がるのではないかと不安を募らせている生産者が多 く、5キロ2000円という安値のインパクトに引っ張られ2025年以降の米価格に影響が及び、 再生産価格を割り込む事態となれば、耕作を諦める事態、すなわち農業離れに歯止めがか からなくなるのではないかと危機感を覚えています。 県としても、こういった懸念や課題を国任せにするのではなく、現場を直視した独自の支 援策によって農業が安定した所得を得られる魅力ある職業になるよう持続可能な営農環境 の確立が必要ではないでしょうか。 例えば、再生産可能価格1俵60キロ当たり2万2000から2万4000円を前提とした価格支援 や所得補償的政策の導入の検討、また、目の前の労働力不足も喫緊の課題です。 特に深刻なのは鳥獣害対策、中山間地域では防護柵の設置や草刈り、防除巡回などの労務 が、高齢化と人材不足により大きな負担となっており、十分な対策ができず、耕作地への 被害が続いております。 県として、人的支援の仕組みや労務費への直接補助、集落単位での体制整備など持続可能 な独自施策の強化が求められます。 そして、いちほまれなどの高付加価値ブランド米や有機栽培米、特別栽培米などの推進、 また、水田フル活用としての麦、蕎麦などの複合作付による水田活用農産品のブランド化、 さらには、環境、観光、福祉と連携した循環型農業への展開支援も必要です。 これらを個別事業にとどめず、全県的な農政戦略として総合的に発展される構想力が問わ れます。 以上を踏まえ、3点伺います。 生産者の再生産可能価格の実態を踏まえ、県独自の価格支援策や経営安定策を検討する考 えはあるでしょうか。 鳥獣害対策や農地維持管理に関する重度な労務負担に対し、人的支援、労務費補助など独自支援策を強化する考えはあるでしょうか。 農業を持続可能な魅力ある産業にするため、福井ならではの構想はあるでしょうか。 前向きな御答弁をお願いします。

 稲葉農林水産部長

私からは、福井の持続可能な農業の展開と林業の基本計画につきまし てお答えをさせていただきます。 初めに、現場の再生産可能価格を踏まえた県独自の価格支援策や、経営安定対策について でございます。 生産者の所得でございますが、米価の上昇によって令和4年から5年にかけて改善はして いるものの、肥料や燃料などの農業資材の価格が高止まりする中で、生産者が将来に不安 なく米づくりを続けるためには、生産コストに見合った合理的な価格が安定して維持され ることが重要でございます。 国は、今国会で食品等流通法を改正しまして、国の責務として合理的な費用を考慮した価 格形成に向けた食糧システムを構築していくこととしております。 今月12日には、実効性がある制度となるよう国に要望したところでありまして、今後も引 き続き状況を注視しながら、必要に応じて声を挙げていきたいと思っております。 また、農業経営を安定させる施策としましては、国が法に基づき運営する収入保険や収入 減少影響緩和交付金、いわゆるならし対策がございます。 県では、これまで収入保険の保険料の補助などを行ってきました。 その結果、令和6年時点の加入率は全国トップレベルとなっておりまして、今後も引き続 き加入促進を図っていきたいと考えております。 続きまして、鳥獣害や農地維持管理に関する独自支援策の強化についてでございます。 鳥獣害対策につきましては、収穫残渣の除去などによる野生鳥獣を寄せ付けない環境づく り、農地を守るための防護柵の設置や維持補修、有害な個体の捕獲が重要でございまして、 特に高齢化が進む中山間地域では、こうした対策の実施が困難な集落もあると認識をして いるところでございます。 県では、今年度から鳥獣害対策コーディネーターを2名に増員しまして、個々の集落による対策が困難な地域につきましては、近接する複数の集落が連携して対策を行うための合 意形成を図りまして、対策に要する費用も独自に支援をしているところでございます。 また、労力を要する金網柵等の設置を含む被害防止対策には、特別交付税措置による国の 手厚い支援がございますので、対策強化に向けた活用を市町に働きかけているという状況 でございます。 さらに、労務負担を軽減するため、昨年度から電気柵の下草刈り負担を軽減する通電防草 シートや、電圧の状況を遠隔監視できるシステムの導入を支援しているほか、修繕に要す る資材費等に対する支援制度の創設を国に要望しておりまして、今後も地域の実情に応じ た対策を強化していきたいと考えております。 続きまして、農業を持続可能な魅力ある業種とするための福井ならではの交渉についてお 答えいたします。 本県の農業の特徴としまして、圃場整備率が全国で第2位、担い手の集積率が全国で6位、 集落営農組織への集積率が全国で2位、また、取水等面積の約3割でスマート農業が展開 されているといったことなどがございます。 こうした高い圃場整備率や集積率などを生かした本県独自の取組としまして、売上げ1億 円超えを目指すリーディングファームの育成やスマート農業の実装加速化などを進めてお ります。 また、いちほまれをブランドリーダーとして、県産米全体の評価を高めるなど、県産農産 物の魅力向上と販路拡大に取り組んでおります。 さらにJA、市町、県が一体となった集落営農組織の経営力強化に向けた伴走支援、小規 模農家がJAの直売所に出荷しやすい体制の構築、地域ぐるみで取り組む水路や農道の保 全管理の後押しを実施しております。 今後もこうした施策を着実に進めまして、稼げる農業と農山村の活性化につなげてまいります。
中西 昭雄 県議

令和7年6月19日 本会議代表質問より

自民党 山浦光一郎県議  (福井市支部 美山分会)
【農林行政について】

まず米価について伺います。 全国的に米価の高騰が続いています。 福井県内でも、JA福井県が2025年産コシヒカリ60キロの前払い金を2万2000円以上とす る方針を定めました。 これは、米を安定的に確保することが難しくなっているという危機感の表れと言えます。 こうした状況は、消費者にとっては家計への直接的な負担増となり、特に物価全体が上昇 傾向にある中で、主食である米の価格上昇は生活の圧迫要因として深刻に受け止められて います。 米価の安定を図るため、小泉農林水産大臣は随意契約による備蓄米の売渡しを実施してい ます。 県内においても安価な備蓄米の販売が一部の量販店で始まったところですが、県としても卸業者や流通業者に対して備蓄米の円滑な流通を図るよう要請すべきと考えますが、所見 を伺います。
 一方で、生産者にとっては、長年の米価低迷から脱し、将来の希望を見いだす材料となっ ています。 加えて、米価が適正に評価されることで農業の職業的魅力や社会的価値が再認識され、若 年層の就農意欲や地域への定着促進にもつながる可能性があります。 農業経営の安定は地域の食料供給体制や災害時の備えとしての機能強化にも寄与します。 JA福井県は、米5キロの適正価格は3500円から3600円との見解を示していますが、これ は、これまで採算割れに苦しんできた農家にとって米価をめぐる昨今の状況が経営の立て 直しの機会となっていることを表しています。 しかしながら、米価の高騰がこのまま続けば消費者のコメ離れが進行し、結果として需要 が減少することで、長期的には生産者自身の経営も脅かす可能性があります。 生産者に対して米価上昇の利益が適切に還元されることは大切であるものの、生産者と消 費者の双方が共に支え合える市場環境を整えることで、価格の上昇を緩やかで持続可能な 水準に抑えていくことも重要です。 生産者、消費者の双方にとってメリットのある米の安定供給を図るため、国は今月5日に 関係閣僚会議を開催しました。 そこで、県として消費者にも配慮しつつ、米農家支援をどのように図るべきと考えている のか、鷲頭副知事に伺います。
 次に、中山間地域の農地維持について伺います。 福井県の中山間地域は、農業だけでなく、国土保全や水源涵養、自然環境の保全、良好な 景観の形成、文化の伝承等といった多面的な機能を担っています。 これらの地域は都市部では代替できない重要な役割を果たしており、県全体の持続可能な 発展にとって不可欠な存在です。 しかし、過疎化や高齢化の進行に伴う農業の担い手不足、農地の耕作放棄や集落機能の低 下により地域の維持が困難になることが懸念されます。 加えて、傾斜地や小区画が多く、機械化や大規模化が難しいため、平地に比べて生産性が 低く、生産コストが高くなる傾向があります。 近年の全国的な物価高騰により資材費や燃料費などの経費が増加し、農家の経営環境は一 層厳しさを増しています。 こうした状況を踏まえ、県では中山間地域等直接支払制度により、農業生産活動の維持に 取り組む集落に対して傾斜や条件に応じた交付金を支給しています。 また、中山間ふるさと・水と土保全対策事業や中山間ふるさと・水と土保全推進事業では、 人材育成、農地、施設の保全活動などを支援しており、地域の主体的な取組を後押しして います。 しかし、現在の物価高騰を踏まえると、これまで以上に実効性のある支援策が求められる と考えます。 そこで、資材費や燃料費などの経費の高騰により中山間地域の農業経営が厳しさを増す中、 県として今後どのように支援を強化していくのか伺います
 次に、農業の担い手確保について伺います。 2020年の農林業センサスによれば、県内においてふだん仕事として農業に従事している個 人は8767人おり、そのうち65歳以上が占める割合は全体の80%を超えています。 福井県の農業は高齢化が急速に進行しており、後継者不足が深刻な課題です。 特に、個人経営の比率が高い本県の農業構造では、後継者の不在が経営の断絶につながり かねません。 こうした状況を受けて、福井県は国内外から担い手確保に向けた取組を進めており、2025 年4月にはインドネシア農業省と農業分野における人材育成や技術交流を目的とした覚書 を締結しました。 この覚書に基づき、インドネシアから優秀な人材を安定的に確保することが期待されてい ます。 一方で、インドネシアに限らず、外国人材の受入れに当たっては、地域との共生や定着支 援、労働環境の整備、制度の持続可能性といった観点から、長期的な視点に立った受入れ 体制の構築が求められます。 国際的な人材確保を一過性対策にとどめず、地域農業の持続可能性を高める政策として定 着させるためには、県としての明確な方向性と制度設計が不可欠です。 そこで、外国人材の受入れについて、インドネシア農業省との覚書に基づく取組をはじめ、 県として今後どのような方向性を描いているのか伺うとともに、継続的かつ安定的な受入 れ体制や地域支援の在り方をどのように考えているのか伺います。

鷲頭副知事  (答弁)

 私からは、農林行政につきまして、消費者にも配慮した米農家支援の在り方 についてお答えを申し上げます。 農家が安心して米作りを続けていくためには、肥料や燃料などの農業資材の価格が高止ま りする中、合理的な費用を考慮した価格が形成されるということが重要でございまして、 そのための実効性のある仕組みを構築するよう国に求めてきたところでございます。 国においても、食料安全保障の観点から、持続可能な米の生産のため食料・農業・農村基 本法に続き、今国会では食品等流通法を改正したところでございまして、実態調査を実施 するなど、取引きの適正化などを図ることによって合意的な価格形成の仕組みを早急に具 体化していく段階にあるというふうに認識をしてございます。 引き続きこれが実効的なものになるよう声を上げてまいりたいと思っております。 一方で、県内でも昨年から米価の高騰が見られ、県としましても、県民生活への影響緩和 や、また、米の消費を下支えするため、2月より子育て世帯に対する県産米の購入支援な どを行ってまいりました。 今後に向けましては、現在、国において、これまでの米の民間在庫の把握方法や、また、 これに基づく全国的な需給見通し、さらに作況調査などにつきまして見直しが議論される というふうに聞いておりまして、この動向や影響を十分に踏まえまして、再生産可能な適 正価格が実現するよう、消費者の理解も得ながら、需要に応じた生産というのを後押しし ていまいりたいと思っております。 また同時に、米農家が安定した経営を継続できるよう、引き続きスマート農業の加速、高 温耐性品種の導入などを支援いたしまして、経営の効率化と、そして強い産地づくりを進 めてまいりたいと考えております。

稲葉農林水産部長    (答弁)

農林水産行政につきまして、3点お答えいたします。 初めに、備蓄米等の円滑な流通の確保についてお答えいたします。 現在、売渡しが行われております政府備蓄米につきましては、JA福井県が落札したもの については4月から、県内の小売業者に随意契約で売り渡されたものにつきましては今月 から販売が開始されております。 JA福井県が落札した備蓄米の販売の進捗率は、5月下旬の時点で約60%となっておりま して、全国よりも早いペースで販売が進んでおります。 県ではこれまでJA福井県や県内卸売業者と備蓄米の円滑かつ計画的な流通について協議 をしており、JA福井県が落札した備蓄米につきましては、県内卸売業者からの要望を優 先して供給していく、7年産が出回るまで安定して供給できるよう計画的な出荷を行って いくと伺っているところでございます。 今後も引き続き備蓄米を含む米の安定供給が図られるよう、JAや県内卸売業者と緊密な 協議や情報共有を行うとともに、定期的に店頭の販売状況も確認してまいります。 続きまして、中山間地域の農地維持のための農業経営の支援強化についてでございます。 県では急傾斜地など営農条件が厳しい中山間地域に対しまして、農業機械購入の補助率引 上げのほか、営農の省力化につながるスマート農機の導入支援を行っております。 また、人材確保が難しい集落に対しましては、アグリサポーターによる農作業の受託を進 めております。 本県農地の約4割の営農を担っている集落営農組織の維持発展は中山間地域の営農にとって非常に重要でありまして、昨年度から県とJAによる集落営農救援隊が後継者の確保や 経営力の強化を支援しておりまして、今年度からは市町職員の参画もいただきまして本格 的に活動してまいります。 さらに、中山間直接支払交付金におきまして、草刈りや水路の泥揚げといった共同活動に、 農家でない方や地元建設業者など様々な人材の参加を促す加算制度が新たに設けられまし たので、市町に対して積極的に活用を働きかけているところでございます。 今後も中山間地域の農地維持や営農継続を図りながら、希望あふれる福井の農業を実現し てまいります。 続きまして、外国人材の継続的かつ安定的な受入れ体制や地域支援の在り方についてお答 えをいたします。 高齢化等により本県農業の担い手が不足する中、優秀な外国人材の確保は重要でございま す。 現在、県内におきましては、インドネシアやベトナムなどから来られた122名の人材が28 の農業経営体で営農を支えておられます。 県では、外国人材の受入れに対する農家の不安を解消するため、特定技能など制度に関す る研修や、実際に受け入れている農家の視察を行うとともに、今年度からは冷暖房など家 電の整備や運転免許の取得に要する費用などを支援しております。 また、労働、生活環境レベルの向上や受入れ農家同士の情報共有を図るため、農家による 協議会を秋頃に設立しまして、外国人材間の交流も進めるなど支援を強化してまいります。 今後、覚書を締結したインドネシアに対しましては、日本語能力の向上や、こちらに来ら れてから必要となります農業機械の操作につきまして、事前の研修を実施するよう要望す るなど、優秀な人材を安定的に派遣いただくよう求めるとともに、他の国からの受入れに つきましても情報収集に努めてまいります

山浦 県議
鷲頭 副知事
稲葉 農林水産部長

令和7年2月27日県議会一般質問より

自民党 田中三津彦県議  (勝山支部 北郷分会)
【給食における地場産食材の活用について】

県内市町における地場産物の給食への活用状況を伺います。また今年度末改定予定の福井県共有振興基本計画において地産地消と食育を重要と位置付けることを契機に、さらに地場産の活用を推進するとともに、児童生徒、保護者などの理解が深まる工夫と努力をするべきではないでしょうか。

教育委員会教育長  藤丸教育長  答弁

学校給食における地場産食材について、主食のごはんについては、全ての市町で地元産のお米を毎日提供しています。また毎月19日をふるさと給食の日として、副食にも地場産食材を活用しています。県としては新年度から地場産食材を活用した副食を1品追加する、地場産プラスワン給食を支援したいと考えています。食育については、現在給食時間などに栄養教諭等が中心となって食材にまつわる福井の自然、歴史、文化、生産者の思いなどを伝える取り組みを行っています。

令和7年2月27日県議会一般質問より

自民党 時田和一良議員  (越前町支部)                                            
【福井県における食品・農産物の輸出について】


福井県における食品や農林水産物の輸出について伺います。令和5年度のアジアへの輸出額は22億円を達成しているが、さらなる輸出増に向けて今後の取り組みと輸出額をどの程度伸ばしていきたいと考えているのか、所見を伺います。また食品輸出を行う県内企業は現在、どの程度増えてきているのか伺うとともに、今後さらに多くの中小事業者が輸出に挑戦できるようにするためにどのように支援策を実施するのか所見を伺います。

農林水産部長  稲葉部長 答弁

県ではこれまで中華圏と東南アジアをターゲットに海外バイヤ-向けの商談会の実施、輸出先の規制等に対応した施設整備の支援、高級レストランやス-パでの福井フェアーの開催などにより輸出拡大を図ってきた。今後はターゲットをアジアからフランス、アメリカ、ブラジルなどにも拡大して、北陸3県連携プロモーションの強化、外国語の商品カタログの作成などにより5年後の令和11年に現在の1.5倍になる54億円を目指して輸出拡大に取り組んでまいります。又中小企業が輸出に挑戦するための支援策については、国やジェトロ、金融機関などと協力し、事業者に寄り添った支援を行って行きたいと考えます。


令和7年2月26日県議会一般質問より

自民党 渡邊竜彦議員  (坂井市支部春江分会)  
【農業支援に対する取り組みについて】

昨年度の食料・農業・農村基本法のの改正に基づき、食料の安定供給、農業の持つ多面的機能の発揮、農村の持続的な発展と、その基盤としての農村の振興を掲げているが、世界的な食料情勢の変化に伴う食料安全保障のリスクの高まりや地球環境問題への対応、海外市場の拡大など我が国の農業を取り巻く情勢が急速に変化をしています。農業従事者の高齢化、新規就農者が少ない、耕作放棄地の増加、自然災害頻発等、農業を取り巻く現状は厳しい。そのような中、我が国農業の生産基盤を維持する観点から、農地の引き受け手となる担い手経営体の強化や次代の農業を支える多様な農業者への施策が必要と考えるが県の所見を伺いたい。又優良農地の保全に関しても所見を伺いたい。

県農林水産部長  稲葉部長答弁

担い手の育成支援については、今年度農業試験場に設置した農業経営アクセラレーションセンタ-が売り上げ1億円を超えるリーディンクファームの育成に向けて、経営塾の開催を行っているほか、リーディングファームを目指す経営体以外の経営体も含めて中小企業診断士などの専門化による経営力向上のサポ-トを行っています。又新たな人材育成の拠点として、美浜町に第二福井園芸カレッジを整備し、嶺南地域における担い手の育成も進めてまいります。又優良な農地の保全では農地中間管理機構を通じた、地区外の法人へのマッチングにより、遊休農地の発生防止に取り組んでいます。
併せて農業を支える重要な基盤である土地改良施設の長寿命化や更新などについても計画的に進め優良農地の保全を図っいきたいと思っています。

令和7年2月20日県議会代表質問より

民主・みらい 三田村輝士議員  (南条支部味真野分会)  【農業行政について】

 米不足と生産基盤の強化について伺います。 主食である米の価格高騰が長引いており、家計を苦しめております。 昨年の12月時点で、前年と比較して平均で約1.7倍にも跳ね上がっており、政府は価格安定 化を図るため、備蓄米を放出する際の運用指針方針を円滑な流通に支障が出た場合にでも できるよう見直した上で、先週、放出することを正式に決定いたしました。 また、24年産米の生産量は増えているものの、行方の分からない米が約21万トンあるとして、農林水産省が調査を始めております。 価格高騰を受け、外食や卸売小売業者などが早めに在庫を確保する動きが広がっていると 予測されます。 県では24年産米のJAなどの大手集荷業者での大規模な卸売者でのストック状況をどのよ うに把握しているのかお伺いいたします。 今回の価格高騰は、猛暑による不作や訪日客の需要増などから生じていると見られます。 様々な要因で価格変動が生じていることが明らかになり、米の生産基盤を強化していくこ とが求められます。 本県の中山間地域の営農者からは、豊作に手間と時間がかかる、中山間地域と大規模化を 進めやすい平坦地とでは生産コストに大きな差があり耕作面積に応じた一律の補助制度で は中山間地域での生産基盤は弱まる一方であり、将来に向けて継承していけるだけの安定 的収入が確保できないという声を聞きます。 担い手の確保とともに、農業機械の修繕などに対しても一定の支援が必要であります。 福井県農業経営基盤の強化の促進に関する基本方針においては、農業機械の共同利用など 広域的な農作業受託組織の育成を図るとされていますが、地域の実態が踏まえられていな い方針であるように感じます。 中山間地域での生産基盤の強化に向け、農業機械への支援を柔軟に拡充しながら経営移行 できる体制を作っていくべきと考えますが、県の認識をお伺いいたします。

 稲葉農林水産部長  答弁

私から、農業行政について、2点、お答えいたします。 まず、24年産米の大手集荷業者等の集荷状況や、大規模卸売業者等のストック状況の把握 についてお答えいたします。 米の民間在庫量につきましては国が食糧法に基づきまして、集荷業者や卸売業者の在庫量 を調査しておりまして、その結果を毎月公表しております。 令和6年12月末の在庫量は253万トンでございまして、前年度同月よりも44万トン、率にし ますと14.8%の減少となっており、近年では最も少なくなっております。 こうした状況を受けまして国は、政府備蓄米の売り渡しを決定し、3月下旬頃から15万ト ンが市場に流通する見込みとなっております。 一方、県内の在庫量でございますが、12月末ですけれども、前年同期比で8%減となって おりまして、県としましても国の備蓄米売り渡しの効果や民間在庫の状況などを注視しま すとともに、JAや卸売業者とのより緊密な情報共有や協議を進めまして、県内への安定 供給に努めてまいります。 続きまして、中山間地域での生産基盤の強化、経営移行できる体制についてお答えいたし ます。 県では、生産条件が不利な中山間地域向けに、農業機械やスマート農機の導入を支援する とともに、中古機械も補助対象とするなど、小規模でも営農が継続できるよう、生産者へ の支援を行っております。 また、中山間地域を含む集落営農の維持発展に向けまして、昨年7月にJAと県で結成しま した集落営農救援隊が経営計画の作成などにつきまして、指導、助言を行うなど、集落営 農組織の後継者の確保や経営力の強化を図っているところでございます。 さらに令和7年度からの中山間直接支払い交付金の新たな支援策を活用しまして、非農家や 地元の建設事業者等による草刈りや水路の泥挙げなどの共同参画を推進しますとともに、 畦畔の緩斜面化やパイプライン化を進めるなど生産基盤の強化を図ってまいります。

CONTACT

Mobile QR Code

QRコード
携帯のバーコードリーダーでQRコードを読み取ることで、携帯版ホームページへアクセスできます。
PAGE TOP